大博打に成功した「焼肉きんぐ」の勢いが止まらない…人気の秘密、社長の意外な戦略とは?

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底堅い需要

 焼肉業界を取り巻く事情ではBSE問題が2001年9月に日本で発生した。2003年12月にアメリカで確認されると、それ以降、アメリカ産牛肉は輸入停止になった。人気を誇る焼肉業界も、この時だけは大きなダメージを受けたという。

「BSE問題が終息すると、焼肉業界は順調に右肩上がりの回復を示しました。もちろん、その後も時々の景気などに左右されたのは事実です。しかしながら、いきなりお客さんが激減したというような、極端なことは現在に至るまで起きていません。底堅い需要に支えられているのが焼肉業界の特徴なのです」(同・千葉氏)

 焼肉業界では「焼肉きんぐ」以外でも、コロナ禍の最中、広報活動に力を入れて成功したところがあるという。

「「非上場の『焼肉ライク』は、一人でも焼肉が楽しめるというコンセプトで人気です。ここもコロナ禍で広報活動に注力しました。もともと焼肉屋さんは換気に気をつけていますが、『焼肉ライク』の店内は2分30秒という短時間で店内の空気が入れ替わっていることをアピールし、客足を伸ばすことに成功したのです。アフター・コロナの現在、『焼肉きんぐ』と『焼肉ライク』が業界を牽引するほどの人気を集めているのは、決して偶然ではないでしょう」(同・千葉氏)

海外進出への意欲

「焼肉きんぐ」と聞けば、配膳ロボット「Servi(サービィ)」が話題になることが少なくない。

 テーブルバイキングが主流の「焼肉きんぐ」は、追加注文が他の外食産業とは比較にならないほど多い。《スタッフ1人当たりの配膳・下げ膳が1時間に約30回発生》するという調査結果もあるという(註)。そこで「焼肉きんぐ」では配膳ロボットが活躍している。

 2021年には配膳ロボットの名前募集キャンペーンが開催され、12341件の応募の中から「みーとくん」が選ばれた。

「配膳ロボットは『企業が省力化のためにロボットを導入している』という見方もあります。とはいえ『焼肉きんぐ』の場合、ロボットが動き回る店内がアミューズメント施設のように見え、特に子供たちが喜びました。いわば“食のエンターテインメント化”で、ファミリー層が中心という顧客層にぴったり合致したのです」(同・千葉氏)

 加藤社長は海外進出に積極的な姿勢を見せていることでも有名だ。読売新聞オンラインは2月11日、「『焼肉きんぐ』 成長の理由は?」の記事を配信した。この記事で加藤氏は、「日本市場だけでは成長できない」との考えを示した。

《日本の市場は、人口減を背景に、縮小傾向が続くでしょう。海外出店は成長戦略の一つです。中国で日本式の焼き肉店やハンバーグ店などを出しました。インドネシアでは出店を検討中です》

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