大博打に成功した「焼肉きんぐ」の勢いが止まらない…人気の秘密、社長の意外な戦略とは?
コロナ禍の秘策
「焼肉きんぐ」が約300店舗と数を伸ばし、568店舗とトップの「牛角」を猛追していることがよく分かる。
マネー情報サイト「ザイ・オンライン」は5月26日、「『物語コーポレーション』が高成長する理由を社長に直撃! アナリスト注目の“業界トップの成長力”に加えて認知度も上昇、値上げも好感されて株価は上昇へ!」の記事を配信した。
記事の内容は物語コーポレーション代表取締役社長・加藤央之(ひさゆき)氏へのインタビューだ。加藤氏は1986年、愛知県生まれ。神奈川大学を卒業後、2009年に入社した。
2020年6月、業態開発本部長から社長に抜擢され、経済誌などが「34歳の社長が誕生」と記事にした。
先の記事によると、加藤氏は「日曜の夜、みんなで焼肉を食べに行くとなった時、パッと思い浮かぶブランドであることが重要」と考え、業界1位を目指すことを決めたという。
具体的には、「焼肉きんぐ」の知名度をアップさせるため、テレビCMなどの広告費を3倍に増やした。新型コロナの感染拡大で世相は騒然としていたが、相当な手応えがあったという。
焼肉の実力
《食べ放題の「焼肉きんぐ」では、食材原価率が4割に上る。一般的な外食は3割なので「焼肉きんぐ」に来たお客さんはコスパがいいと感じ、満足するわけだ》
《店側からすれば、お客1人当たりで稼げる利益が少なくなる。それを補うには、店舗を大型化し、客の回転率も上げなければならない》
日本経済新聞(電子版)は22年9月、「『焼肉きんぐ』の物語コーポ 高収益、メニューの妙」の記事を配信した。
《焼肉きんぐは家族を主要ターゲットに位置づけ、子供や女性を飽きさせない豊富なデザートなどのサイドメニューと価格設定の妙で高い粗利益率を維持している。100分食べ放題の主力のきんぐコースは税込み3278円。子どもの価格は小学生で半額、幼児無料と年齢に応じて下げ、「1家族1万円を想定した価格設定」(同社)とする》
フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏は「『焼肉きんぐ』はすでに『牛角』の上を行っています。店舗数は少なくても1店あたりの売り上げははるかに大きいからです」と言う。
「そもそも重要なのは焼肉業界が非常に底堅い需要を持っていることです。顧客満足度などを調査する株式会社ROIが、20年に『緊急事態宣言が解除されたら行きたいお店は?』というアンケート調査を行いました。複数回答による結果は、1位が63%の焼肉、2位が62%のすしだったそうです。焼肉が高い人気を得ていることがよく分かります」
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