大博打に成功した「焼肉きんぐ」の勢いが止まらない…人気の秘密、社長の意外な戦略とは?
日本食糧新聞は2022年8月、「物語コーポレーション、前6月期は増収増益 焼肉・ラーメン2桁伸長」との記事を配信した。物語コーポレーションの本社は愛知県豊橋市、まだまだ知名度が高い企業とは言えないかもしれないが、2011年に東証1部(現・プライム)に上場。何より展開する「焼肉きんぐ」は、多くの人に知られているはずだ。
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同紙が報じたのは2022年6月期連結決算。売上高は732億7700万円で前年比14・4%増、営業利益は28億7300万円で前年比12・4%増という増収増益だった。
部門別売上高は、焼肉部門が389億8500万円で、ラーメン部門は107億3300万円。やはり「焼肉きんぐ」が物語コーポレーションの基幹ブランドということなのだろう。
現在の外食産業は、ポスト・コロナの到来で客足が急速に戻っている反面、相次ぐ値上げに苦しめられてもいる。
そんな中、今年6月9日に物語コーポレーションが発表した「2023年6月期 5月度 月次売上高前期比(速報値)及び店舗数のお知らせ」を見ると、依然として「焼肉きんぐ」が好調であることが分かる。
焼肉部門の1月から3月までの売上高(FC含む)は、対前期比で119・9%、客数は116・5%。4月と5月は売上高が114・6%、客数が107・9%となっている。
日経XTRENDは4月24日、「食べ放題『焼肉きんぐ』予約1カ月待ち なぜ人気は過熱する?」の記事を配信。《週末の夜は予約枠が1カ月先まで埋まっているのが当たり前で、しかも予約で満席になるタイミングは少しずつ前倒しになっている》と報じた。
焼肉業界の動向
「焼肉きんぐ」が業界の中でどれくらいの位置を占めているのか、ライバル他社との比較を店舗数や株価などから見てみよう。
まず「焼肉きんぐ」は、4月3日にオープンした「保土ヶ谷星川店」(神奈川県横浜市)で全国300店舗を達成。物語コーポレーションの発行株式数は3635万4750株で、6月19日の終値は3490円、時価総額は1268億7800万円だった。
一番のライバルと目されているのは「焼肉チェーン店で店舗数No・1」を掲げる「牛角」だ。公式サイトを見ると568店舗が記載されているほか、食べ放題専門の「牛角」やフードコート専門の「焼肉食堂」なども展開している。
「牛角」を運営するのはレインズインターナショナルで、親会社はコロワイド。発行株式数は8690万3541株で、19日の終値は2025円、時価総額は1759億8000万円だった。
「安楽亭」は公式サイトによると今年3月現在157店舗。発行株式数は213万9434株で、19日の終値は7060円、時価総額は151億400万円だった。
焼肉坂井ホールディングスが運営する「焼肉屋さかい」は、公式サイトによると55店舗。発行株式は2億3986万6162株で、19日の日の終値は70円、時価総額は167億9100万円だった。
最後は「あみやき亭」だ。同社の「2023年3月期 決算短信」によると97店舗。発行株式は684万8800株で、19日の終値は3585円、時価総額は245億5300万円だった。
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