広末涼子を「他人事とは思えない」という42歳夫の告白 片思いの同級生と再会、初めて自分について気付いたこと

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34歳の時に落ちた“恋”

 ただ、そのがむしゃらに働いていた34歳のとき、彼は恋に落ちてしまった。相手は中学時代の片思いの相手だった純子さんである。

「純子とは小学校も同じで、よく一緒に遊んでいたんだけど、中学に入ったら彼女、急にきれいになって。もう僕のことなんて相手にしてくれなくて、高校生の不良たちとつきあうようになっていった。彼女、両親が離婚してふたりとも出ていって、おばあちゃんに育てられていたんです。でもそのおばあちゃんも亡くなって。親戚夫婦がその家にやってきたんだけど、彼女はかわいがってもらえなかったらしい。それで彼女は変わっていったんでしょうね」

 彼自身はサッカーに夢中だったし、変わっていく彼女を止めることもできなかった。中学の卒業式には彼女はいなかったと彼は言う。

「同窓会に純子が出席するかもしれないという噂があったので、どうしても会いたいと思った。僕は保護者でも彼氏でもなかったけど、幼なじみがどうなっていったのかをちゃんと見なかった後ろめたさみたいなものを抱えていたんですよ。それは男の身勝手な思いかもしれない。彼女にとっては僕なんてその他大勢のひとりにすぎない。でも僕は彼女のことは忘れられなかった」

 中学を卒業して20年近くがたっていた。会いたいような会いたくないような、会うのが怖いような気持ちで彼は同窓会会場となったホテルへと足を運んだ。

「純子は会場のど真ん中にいました。みんなに声をかけられていた。どこか憂いを抱えた大人の美しさを思い切り放っていたから、僕はおいそれと近づくことさえできなかったんです。そうしたら『大ちゃん』と彼女に言われて。近寄ってきてハグしてくれました。僕は失神寸前というくらい緊張していた」

「2人で抜けよう」といわれて

 純子さんと会場でゆっくり話すのはむずかしかった。元気でいるところを見られたからいいかと思っていると、純子さんが彼に近寄ってきた。

「一次会、もうすぐ終わるから抜けようよって。いや、それはまずいだろと言ったら、大ちゃんは相変わらず杓子定規ねってウインクされた。当時の担任が挨拶を始めて、みんなが前を向いたところでこっそり抜け出しました。ホテルを出てタクシーに乗って、近場の繁華街のレストランでようやく人心地ついて」

 あれから20年、純子さんがどうやって生きてきたのか。大祐さんはストレートには聞けなかった。今、どうしてるのと聞いたら、「シングルマザーなんだ、私」とあっけらかんと返ってきた。今日は大丈夫なのかと言うと、「うちの子、18歳だから」と純子さんは言った。

「これが私に似なくていい娘なの、今度会ってやってよと。彼女はカフェのオーナーになっていました。『別れた夫からもらった店なんだけど、がんばっていい店にしたのよ』って。今度行くよと言ったら、『ダメ、来ないで。大ちゃんが来たら仕事ができなくなっちゃう』と純子は笑うんです。ちょっとドキッとしました。『いろんなことがあったし、私はもう人生一回りしちゃったから、すっかりおばあちゃんの気分よ』とも言っていましたね」

 気になる中学生だった純子さんは、さばけた大人の女になっていた。それでも大祐さんは彼女からこぼれるような色気を感じ、ずっとクラクラしていたという。

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