「マイナ保険証を使わない人への嫌がらせ」 マイナ推進なら「保険証廃止」で医療情報の「誤ひもづけ」問題も
悪しき“番号アレルギー”
そうできない背景に横たわるのが、とある裁判の判決だ。
2008年、住基ネットがプライバシー侵害で違憲ではないかという4府県の住民からの訴訟に対し、最高裁は合憲だとする判決を下した。その理由として最高裁は住基ネットが個人情報を一元管理していない点を挙げている。つまり、情報が分散管理されていれば合憲、そうでなければ違憲だというわけだ。以来、個人情報を番号で一元管理してはならない、という日本人の悪しき“番号アレルギー”が醸成されてきた。
「この判決が拡大解釈され、いまではマイナンバーに基本4情報が付随しない形で情報がやりとりされることになってしまった。複雑な仕組みにすると、国民は“安全ではないか”となんとなく納得してしまいますが、こんな無駄はやめて、シンプルな制度設計に見直すべきだと思います」(同)
混乱を呼びそうなマイナ保険証
例えば、自治体が他自治体の保有する住民の所得情報を得たい場合、国が所管する情報提供ネットワークシステムを経由して他自治体の中間サーバーから所得情報を得ることになっている。
「ただし、その所得情報には基本4情報が連携されていないので、別人の所得情報だとしても、自治体職員が気付きにくい設計になっているのです。似たような所得の人物とマイナンバーがひもづいてしまえば、そのままになってしまう可能性が高い。マイナンバーで連携し、基本4情報とも突き合わせることができれば、このようなミスを防ぐことができます」(同)
さらに今後、混乱を呼びそうなのが、来秋、従来の保険証が廃止され、マイナカードに保険証機能が一元化されることだ。
いわゆるマイナ保険証である。
すでにマイナ保険証については、従来の保険証と併存する形で制度がスタートしている。だが、全国で混乱が起きているのが実態だ。
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