多額の製作費は伊達じゃなかった Netflix「サンクチュアリ -聖域-」が大ヒットした3つの要素
予算と時間、手間をかけて、丁寧に作られているドラマ
2023年5月にNetflixで配信開始されたオリジナルドラマ「サンクチュアリ -聖域-」が話題を呼んでいる。大相撲の世界を舞台にして、そこで奮闘する若者の姿を描いている。
このドラマが大ヒットを記録している最大の理由は、面白いからということに尽きる。その面白さがどういうところから生まれているのかについて、いくつかの要素に分けて考えてみたい。
第一に、圧倒的な予算と時間と手間をかけて、丁寧に作られていることだ。Netflixのオリジナル作品ということもあり、恐らく一般的な地上波のテレビドラマとは比較にならないほど多額の制作費がかけられている。
力士の役を演じる役者たちは、本物の力士に見えるように筋肉も鍛え抜かれていて、それだけでも制作者の並々ならぬ意気込みを感じる。取組が行われる会場や相撲部屋のセットの作り込みにもすさまじいものがあり、視聴者が自然にドラマに没入できるようになっている。
第二に、相撲の世界の美しい部分を描くだけではなく、ネガティブな部分にも堂々と踏み込んでいることだ。相撲はきれいごとだけで成り立っているわけではない。異常なまでに筋肉を鍛え抜いた男たちが、裸と裸でぶつかり合うのだから、生半可な世界ではない。その裏側にはどす黒いものが潜んでいるのは間違いないし、ときにはその一部が表沙汰になってマスコミを賑わせたりする。
このドラマでは、そういうところも遠慮なく赤裸々に描いている。「かわいがり」と呼ばれる相撲部屋での猛烈なしごきやいじめ、八百長、星の貸し借り、金に物を言わせるタニマチなど、ダークな部分も見せることで、物語にリアリティと緊張感を出すことに成功している。
[1/2ページ]