「ウッズ」「ブーマー」が大激怒! 両軍がベンチを飛び出す“乱闘”を誘発した「余計な一言」

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“右フック”をお見舞い

 昨今のプロ野球は乱闘シーンがあまり見られなくなったが、5月20日のDeNA対ヤクルトでは、この日チーム3つ目の死球を受けたDeNA・宮崎敏郎がマウンドに向かったことがきっかけで、あわや乱闘寸前の小競り合いに発展した。乱闘はできれば回避するに越したことはないが、過去には余計な言動が藪蛇とも言える乱闘を誘発したケースもあった。【久保田龍雄/ライター】

 死球を与えた直後のジェスチャーが挑発に取られ、火に油を注ぐ結果を招いたのが、ヤクルト時代の藤井秀悟である。

 2005年5月5日の中日戦、0対0の5回2死、藤井はカウント1-1から140キロの直球をウッズの胸元付近に投げ込んだ。のけぞるようにしてボールをかわしたウッズは、藤井を指差して大声を張り上げると、怒りをあらわにして向かっていった。

 藤井は両手を広げ、「Why(なぜ怒る)?」のポーズを取ったが、これがウッズの怒りを倍加させる。体重102キロの巨漢はマウンドに突進すると、咄嗟に背を向けた藤井の後方から右フックをお見舞い。たまらず藤井はその場に崩れ落ちた。

「来て怒るだけかと思った。けっこう痛かった」(藤井)

 たちまち両軍ナインが集まり、押すな押すなのもみ合いに。倒れ込んだままの藤井を救出して搬送しようと、担架も用意されたが、数分後、藤井は自力でベンチに戻り。試合は7分中断した。

「オレは人生を賭けているんだ」

 ウッズの怒りには伏線があった。4月6日のヤクルト戦で五十嵐亮太から左手小指に死球を受け、同10日の巨人戦でも後藤光貴から同じ箇所にぶつけられた結果、その後、亀裂骨折していたことが判明した。

 この影響でフォームを崩し、一時打撃不振に陥ったため、内角をえぐるボールに対してナーバスになっていたのだ。

「頭の近くに来たからね。オレは人生を賭けているんだ。(藤井には)『2度と頭の近くに投げるな』と言った」(ウッズ)

 内角攻めに腹を立てた直後、藤井の「Why?」のポーズを見て、完全にぶち切れてしまったようだ。

 中日・落合博満監督も「アイツらはあそこ(顔面付近)に来たら怒る。(藤井が)謝っていれば何でもなかったけど、挑発したみたいになったから」とウッズを擁護した。

 一方、ヤクルト・若松勉監督は「こんなことでは野球ができない。日本で野球をやる資格なんかない。もし(パンチの)当たりどころが悪かったら、野球生命が終わりでしょう」とカンカン。志願の続投も報われず、負け投手になった藤井も「次からもああやって投げないと、抑えられない」と内角攻めを続けることを宣言したが、一夜明けて痛みが悪化し、むち打ち症状も出るなど、散々だった。

 また、10試合の出場停止と制裁金50万円が科せられウッズも、結果的にこの欠場が響き、新井貴浩(広島)に5本差の38本塁打で3年連続のキングを逃している。

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