駐日ジョージア大使「優先席」騒動 正論で撃破された「“マイルール”バカ」につける薬はない

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一切ない優しさ

 一方、日本のマイルールバカは、「優先」と「専用」の違いも分からず拡大解釈をし、「優先席に若い自分が座るのは社会に迷惑がかかる」「優先席は健康な人は座ってはいけない」と思っている。だが、自分が通常の席に座った時は、目の前に高齢者や妊婦がいても寝たふりするんだよな。「ここは早い者勝ちの席。座りたいのなら優先席の方へ行けよ。そのために優先席があるんだろ?」と考える人もそれなりにいることだろう。優しさが一切ない。

 この手の人々が、7人がけで、一つおきに空いている席の真ん中に座っているとしよう。そこにやってきた二人組。この人物が左か右に動いてやれば、二人組は並んで座れるのだ。だが、「ここはオレが確保した席。二人で座りたいなら、どこかが空くまで待て」とでも言いたいかのように、スマホの画面を食い入るように見て動かない。

 とはいっても、通常席で席を譲らない気持ちも分かる。譲ることにより、なぜか不快な気持ちになることがあるのだ。高齢男性に時々いるのだが、席を譲ろうとすると、こちらの目もを見ず、ブスッとしながら手を振って拒否の姿勢を見せるのである。そして、この男は一旦座るのを拒否してしまったせいもあり、その後に席が空いても頑なに立ち続けるのだ。こうした経験をすると「ケッ、爺さんになんかもう席譲らんわ。譲ってほしかったら頼め」と頑なな態度になってしまうことも理解できる。

偽善自慢なんて聞きたくない

 しかし、夫婦連れだとこうはならない。先日、東京メトロ日比谷線に乗っていた時、ニンテンドー3DSで「三國志」をやっていた私の隣は席が一つ空いていた。そこにやってきたのは老夫婦。夫が妻を座らせようとする素振りを見せた瞬間、私は立ち上がり、「どうぞ」とやった。すると妻が「あら、ありがとうございます」と言い、夫もにこやかに「いやー、ありがとうございます。これはこれは」と言う。私はその前に立ち続けたのだが、夫婦は私が3駅先で降りる際に「ありがとうございました」とお礼をしてくれた。このように厚意を受けてくれれば譲りやすくなる。だが、ネットの「文句言いたい厨」はこのようなやり取りに対しても、この手の反論をして来るんだよな。

「譲られるのが迷惑な人だっているだろ」

「足腰を鍛えたいかもしれないじゃないか」

「他人に恩を着せられるの、オレ嫌いなんだよ。放っておいてほしい。小さな親切大きなお世話」

「お前の偽善者自慢なんて聞きたくねぇよ」

 話は「マイルールバカ」「マイルール押し付け厨(厨=迷惑をかけるイヤなヤツ)」に戻るが、日本社会はマイルールバカがかなりの力を発揮するほか、それが蔓延することもある。

 一番分かりやすいのがマスクだ。政府が「マスクは任意」と言ったにもかかわらず、「室内ではマスクを着けろ」というマイルールを押し付け、某ライブハウス経営者など、スターバックスの店員がマスクをしていなかったことにツイッターでキレて、「飛沫トッピングなんていらない」と激怒しているのである。散々「施設管理権ガー!」「店のルールガー!」とマスクをしない人間を糾弾してきた人間がいざ、自分がマイノリティになろうとする過渡期になると、途端に「マイルール押し付け厨」に変容するのである。

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