スキャンダル芸能人を責めるのは「野暮」？ 広末報道で芸能人コメンテーターたちの態度が変化 瓦解しはじめたワイドショーのプラットフォーム
「よそはよそ、うちはうち」がトレンド時代のコメンテーター不要論 気を吐くYouTuberたちがその役割を継承？
扱う相手の知名度や所属事務所によって態度を変えるというのはある種当然のことである。白黒つけやすい相手、もっと言えばクロと断じてもリスクの少ない相手の時に黒と言わないと、切れる手札が少なくなってくるからだ。そうやってこれまでは、「みんなこいつのことこう思ってるでしょ」とたたきやすい相手をたたくことが視聴者の共感を集め、自身の露出やキャスティング率も上がるというメリットにつながっていた。
しかし今や、一部の視聴者におもねったところでうまみがないことに気付いたということなのだろう。時代は多様性の重要さを謳い、そもそも恋愛や結婚に重きをおかない人も増えてきた。まさに「よそはよそ、うちはうち」がトレンド。「人間はこうあるべき」なんて語ったら最後、時代にそぐわない「老害」と反感を買い、仕事が減るリスクがある。
さらに今は、気を吐いたコメントで世間の注目を集めようとするYouTuber勢がいる。広末さん報道に関しても、ゆたぼんさんやてんちむさんらの発言は賛否両論を巻き起こした。テレビ業界とのしがらみのない彼らが火種を引き受けてくれるのなら、ワイドショーでのコメントというプロレスをおまかせしようと思っても不思議ではない。
一番困ったのはワイドショーではないだろうか。キャンドル氏の会見に感銘を受けた視聴者は少なくなく、有名人コメンテーターたちはキレのいいコメントを出すことに及び腰。事務所との関係性も粗末にできない。各所からハシゴを外されて、転換期を迎えているのだろう。
出演者と作品の評価は別、という流れが加速？ 「同一視する視聴者は無粋」と断じることの無意味さ
折しも広末さんの報道と同時期に、映画「東京リベンジャーズ2」に主要キャラとして出演する永山絢斗さんの大麻所持が発覚した。公開直前の逮捕ということでお蔵入りかと危ぶまれたが、予定通りの公開が決定。また、未婚と偽り長年不倫を続けていた声優・櫻井孝宏さんも、人気アニメ「鬼滅の刃」の冨岡義勇役続投が発表されている。作品と本人のスキャンダルは分けて考えるべき、いつまでも過去をほじくり返すなという流れを後押しする形になった格好だ。
不倫しようが薬をやろうが、そのどうしようもない人間の業を芸で見せるのが芸能人。だから一般社会の論理で評価するのは野暮、という意見はわからなくもない。とはいえ、人気者をやっかみ、やいのやいの言いたくなるのも、役柄とスキャンダルを重ねて感情的に見てしまうのも人間のどうしようもない性である。それがあるべき姿かどうかは別として、「最近の視聴者は無粋」と矛先を向けられて反発する人も少なくない。そもそも誰かを断じる、という旧来のワイドショーフォーマット自体、今の時代にそぐわないということだ。
「よそはよそ」としか言えなくなったタレントコメンテーターたちと、彼らを起用するワイドショーはどこへ向かうのか。広末さんは無期限の活動休止を言い渡されているが、コメンテーターという仕事も、芸能界から無期限で消えそうな予感がする。
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