阪神・大竹、巨人・オコエが活躍……現役ドラフト成功で、選手会からは「FA取得年数短」を望む声が

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選手会との意見交換

 こうしたドラフト会議のルールには、日本高野連、大学連盟、社会人野球の日本野球連盟などの協力や理解も必要だ。改定するのであればそれなりの時間も掛かりそうだが、「現役ドラフトの拡充よりも通常ドラフトの改定」が囁かれるのには、別の意図もあった。

「NPBと選手会は何度も事務折衝を重ね、現役ドラフトを実現しました。今も定期的に意見交換をしていますが、現役ドラフトの件がまとまり掛けたころから、選手会側がフリーエージェント(以下=FA)の取得年数の短縮を口にし出したんです。『年数短縮は勘弁してくれ』と話す球団幹部は少なくありません」(ベテラン記者)

 昨年12月、労働組合・日本プロ野球選手会は大阪市内で定期大会を開き、国内外を問わず、「6年への短縮統一」を目指すと宣言している。現行では国内FAは高卒選手が8年、大学・社会人出身が7年(06年以前の入団選手は8年)、海外FAは9年となっている。「より高く評価してくれる球団へ」「MLBへの憧れ」など選手側の気持ちも分かるが、経営サイドは、

「高校卒選手は一軍定着まで4~5年は掛かる。レギュラーになったと思った途端に移籍されたら、育成システムが成り立たない」

 と嘆いていた。現役ドラフトは選手会の提案で導入が決まった。選手会との力関係も考え、「現役ドラフトを発展させるよりも現行ドラフトの改定」の声が出始めたようだ。

 冒頭で紹介した中日の4番バッター・細川がブレイクした理由について、こんな情報も聞かれた。

「茨城県の明秀日立高校 からドラフト5位でDeNA入りしたものの、外野手が充実しているため、なかなかチャンスを掴めずにいました。パワーと飛距離はピカイチ。でも、確実性が低く、その課題を克服できませんでした。ドラゴンズに来てから、和田一浩打撃コーチ(51)はテニスラケットでテニスボールを打たせたりしていました。その練習が細川には合っていたのかもしれませんが、中日の主力選手たちと練習の組がいっしょになり、期待されているんだ、という思いを強くしていったようです」(中日担当記者)

 現役ドラフトは「12球団の一斉トレード」とも言えそうだ。環境が変われば、気持ちも前向きになれるのだろう。だが、その成功により、経営側と選手会の新たな対決軸も見えてきた。

デイリー新潮編集部

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