シティ・ポップのレジェンド「林哲司」は代表曲「悲しい色やね」が嫌いだった? 本人が明かした真相と、作詞家に伝えた言葉
「かなりかっこいいバラードが書けた、と思ったんだけど」
康氏は冗談含みで話しているところがあるにせよ、「曲が台無し」とは随分な怒りようだ。この言葉通りなら“嫌い説”は事実ということになるが、本当のところはどうなのか。林氏本人に聞いた。
林氏によれば、「康さんとは4月にお会いしました。僕の50周年をお祝いしてくれるということで、食事に誘ってくれたんです。その話もしましたよ」。なんと最近2人で会い、「悲しい色やね」の関西弁の歌詞についても話したという。「康さんが“びっくりさせちゃったみたいで、なんか申し訳なかったですね”って言うから、“いや、とんでもない。むしろ僕はあの歌詞によって教えられたんです。感謝しています”と答えたんです」と40年越しでお互いに気持ちを伝え合ったという。
気になるのは林氏が「感謝」の気持ちを伝えたということ。それならば「嫌っている説」は完全に否定されることになる。「感謝」の理由や“嫌っている説”が取り沙汰された背景を、林氏はレコーディング当時まで遡ってこう話してくれた。
「あの曲は自分でもかなりかっこいいバラードが書けた、英語の詞を載せてもいいんじゃないか、ぐらいに思っていました。しばらくしてレコード会社のディレクターの関屋薫さんが“歌を入れたので聴きませんか”と持ってきてくれて、ウォークマンで聴いたんです。あぁ、いい感じになったなぁと思っていたら、Bメロで“♪泣いたらあかん~”。え! 関西弁!? とビックリしたんだけど、気がついたら関屋さんがこっちの顔をのぞき込むように見ていたんです(笑)。どんな反応するだろう、みたいな感じで。僕は探られるのは嫌だなと知らん顔して聴いてました(笑)」
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