激増する「国際ロマンス詐欺」の犯人は“ナイジェリア”にいた! 現地で直撃した詐欺犯の告白「これはサービス業なんだ」
損切りができなくなってしまう
――被害者たちは、一度は「もうお金がない」と伝えているのに、それでも詐欺師は「どうにかして金を集めてきてほしい、私のために」と迫ってきます。
詐欺師が金を求めるパターンは2つあります。ひとつは、いわゆる“ロマンス”に絡めた手法。加害者に恋愛感情を抱いている被害者には、いまの関係を維持したいという気持ちがあるので、長い期間にわたって被害が継続してしまいます。もうひとつは、暗号資産の投資を教える名目で騙す手法です。前者のケースでは、詐欺師は海外のインフルエンサーやモデル並みの写真を使っている場合があるため、プロフィール情報を鵜呑みにすると、見栄えが良くて、社会的立場の高い相手とやり取りしているように信じ込んでしまう。後者についても同じような写真を使ってはくるのですが、被害者はそこまで“恋愛”に本気ではありません。“私の指示通りに投資すれば儲かる。どうか信じてほしい”と持ちかけられるうちに、いつのまにか本当に儲けられると錯覚してしまうわけです。
ロマンス詐欺から始まった投資詐欺の場合、最初に必ず、被害者の出資が利益を上げたように見せかけます。ところが、儲かった金を引き出すためには税金や保証金が必要だと言われ続ける。一旦は儲かったという設定になっているので、被害者としても後には引けない、いわば“損切り”ができなくなってしまうのです。
たとえばパチンコでも“ここまま負けて帰ったら、今まで注ぎ込んだ時間とお金は無駄になってしまう……”という精神状態になると思います。それとほとんど同じです。“あと少しだけお金を出せば、利益が戻ってくるんじゃないか”という思いがまだ残っている。恋愛にしても、投資にしても、被害者は損を確定させたくないんですよね。
また、取材を続けるなかで気づいたことなんですが、被害額が大きい人は本人の財産以上の金を集めていることが多いんですね。親に無心したり、兄弟や友人に借金をしたり、カードローンを組んで借り入れたり、と。そうして借金が積み上がると、被害総額が何千万にのぼるケースになってしまう。しかも、カードローンを契約することまで、犯人が勧めてくるんです。
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