「小沢一郎」が語る“細川連立政権”秘話 「自民党を否定しているんじゃない。一度、地に落ちて引き締め直せばいいんだ」

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二度続いた“不測の事態”

――政権交代が実現したがそのあとは?

小沢:細川体制でまずしばらくやろうと思ったけど、全然予期せぬ出来事が、その細川さん自身になっちゃった。NTTと佐川急便問題。何の問題もないんだよ、法律的には。でも、辞めちゃった。相談はなかった。多分、すぐに辞めればまた自分に回ってくると思ったのかもしれないな。うまく去れば。

――そして羽田さんに代わった。

小沢:そうしたら、今度はもう社会党の裏切り。社会党が自民党と話をしているっていう噂は小耳に挟んでたんだけどまさかと思ったよね。そもそも社会党は連立8会派のなかで、自分たちに天下をくれって言ってたんだよ。俺たちは議員数が一番多い、新生党よりも多いじゃないかと。80人はいるから。新生党は60人ぐらいだったからね。そうしたら、社会党の策士の野坂浩賢が自民党の野中広務、亀井静香、森喜朗なんかと話をして関係を作っていた。羽田内閣の不信任が通った時なんだけど、社会党の連中が羽田に「一旦退任しろ。そしたら、次の首班指名でまた君を推す」と言ったらしい。で、羽田は解散しなかった。不信任で追い込んだ総理を、また指名で推すなんてことはあり得ないのに羽田は総辞職した。解散するしかなかったのに。なんで判断出できなかったのか。あれがすべてだった。不測の事態が細川、羽田と二度続いて、そして自社さ政権にしてやられた。

政権交代の一点で合意できればいい

――政権交代を考えるときに、2009年の民主党の政権交代をイメージして、野党の大きな政党がなきゃできないとか理念が大事とか言う声もあります。ただ僕は、93年の政権交代を思い出すべきだと。あの時は8会派もあって、政策が全部一緒なんていうことはあり得ない。でも、ただ一点あったのは政権交代。一回、自民党にお灸を据えなきゃダメだと。これをやったら自民党も引き締まるし、それなら野党も再編しようかと……。

小沢:マスコミ、評論家、政治家などの多くが、政策が違うのにおかしいじゃないかとすごい言うんだよね。それで私は言うの。それは自民党政権を変えようと、今の変な政治をやめようという一点さえ合意すりゃいいと。ドイツを見ろ、と。緑の党と社民党とか一緒になって政権作ってるじゃないか。彼らは全部政策違うよと。それでも政権を倒すために手を握ったんだ。我々と、維新と、玉木(雄一郎)君の国民民主とかね。考えてみてよ、ドイツほどの違いはないよ。一緒にやるのは合理的だよ。既存の利権構造が変わるんだと。あちこちに巣食っている腐敗の利権の構造が、政権が変わったことによって雲散霧消してなくなると。そして、新しい政権がまた長く続きゃ、それはまたそういう構造ができてくる。だから時々変えなきゃということになる。それが政権交代であり、民主主義。合理的なそういう考えっていうのは日本人には通用しないんだよなぁ。

――しかし小沢さん、諦めてないでしょ。

小沢:二大政党じゃなくたっていい。二つの政治勢力でいい。それを交互に政権交代させる。時に応じて。政権交代のない国は民主主義じゃない。民主主義って政権交代があるから民主主義なんだ。だから私は二度、自民党を倒したけど、もう一回やるって言ってる。絶対生きてるうちに必ずやってみせると。

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