巨人は息を吹き返したが…交流戦最後の楽天戦で思ったこと【柴田勲のセブンアイズ】

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阪神の追撃態勢は整ったが…

 16日は先発の横川凱が2点リードで初めての経験となる7回のマウンドに上がった。だが連打などで無死二、三塁のピンチを招き、岡島豪郎にタイムリーを浴びて1点差となり降板となった。

 6回で代えてもいいかなと思いながら見ていた。何を言っても結果論になってしまうが、7回は横川には未知のゾーンだ。それまで2安打1失点の好投だった。

 傷を付けずに降板していたら「ナイスピッチ」と周囲から評価されて、本人もいい感じで次の登板に向かうことができた。いずれにせよ、「7回の壁」を乗り越える糧にしてほしい。

 18日に先発した菅野智之は負け投手にはなったものの6回を無死四球と本来の姿を取り戻しつつある。戸郷翔征にグリフィンの3本柱、これに山崎伊織、横川、ヨアンデル・メンデスと先発陣が厚くなった。

 中川皓太が復活、タイラー・ビーディも救援転向でいい味を出している。菊地大稀も成長してきた。

 打撃陣では4番の岡本和が圧倒的な存在感を見せている。坂本、丸佳浩、梶谷、大城らも好調だ。ちょっと心配なのは調子を落とし気味の秋広優人だが3番の重責を担ってくれると思っている。

 阪神の追撃態勢は整ったが、強化するためにはできる限りミスを少なくすることだ。本塁打で“しか”ではなく、もっと得点能力を上げてもらいたい。

 23日からは敵地に乗り込んで広島3連戦だ。巨人の戦いに期待している。
(成績は20日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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