巨人は息を吹き返したが…交流戦最後の楽天戦で思ったこと【柴田勲のセブンアイズ】

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交流戦で気になること

 巨人が息を吹き返した。苦手だった交流戦を4年ぶりに11勝7敗と勝ち越した。9年ぶり3度目の制覇こそ逃したが、交流戦前の借金「1」は貯金「3」になって、一時は10になった阪神とのゲーム差も5.5に詰まった。追撃態勢が整った。

 しかし、楽天には痛恨の連敗だったな。17、18日ともにスコアは1対2。結局は守護神・松井裕樹を登場させる状況に追い込まれてしまった。松井はパ・リーグNo.1の抑え投手だ。巨人打線でも攻略は難しい。

 15日の西武戦は梶谷隆幸が延長10回にサヨナラ二塁打、翌16日の楽天戦は坂本勇人が9回に逆転のサヨナラ3ラン、これで巨人は完全に乗っていけるとみたが、あとの2試合はガッカリ、気になることがあった。

 いまの巨人は本塁打頼みだ。前回も記したが本塁打で点を取っているのか、それとも本塁打で“しか”点を取れないのか。そのへんは見方が分かれるところだが、そうなるのも仕方がないのか。

100%待て、だった

 17日、1点を追った7回、先頭打者として若林晃弘がフォスター・グリフィンの代打で出てきた。ここはなにがなんでも出塁が求められる。

 だが、若林は3-1からボール球をポーンと打って中飛に倒れた。1球待ってたとえストライクが入っても3-2、投手の宋家豪が苦しいことに変わりはない。

 ここは打ってはいけない場面だ。6、7点差くらいで負けていて打者が中田翔、アダム・ウォーカーといった一発がある打者ならばまだ話はわかる。若林が最優先すべきはどうしたら出塁できる確率が高くなるか。あそこは100%待て、だ。

 8回2死一、三塁で一塁の代走に起用された門脇誠がこの試合で本塁打を放っていた大城卓三の初球で二盗に失敗した。結果として好機を潰してしまった。

 走る必要がなかった。酒居知史の投球モーションを完全に盗んだというのならともかく、走る局面ではないし、走ってはダメだ。「走るな」のサインを出してもよかった。

 楽天の阿部寿樹は一塁ベースにくっついていて一、二塁間が空いていた。左の大城には有利だ。一打同点のケースだ。巨人の三走は岡本和真。これが吉川尚輝ならともかく、楽天バッテリーにすれば重盗はないと確信していた。そこで捕手の太田光は思い切りいいボールを二塁に放ることができた。

 ベンチの指示か、それとも門脇の判断なのか、そのへんの事情は分からない。巨人ベンチにすれば盗塁成功で二、三塁として大城の逆転打に懸けたのか。

 9回には大城、ウォーカー、オコエ瑠偉がそろいもそろって松井の前に三振だ。三人とも低めの変化球、ボール球を振っていた。ストライクを一球も振っていなかった。

 巨人には松井に対しての「傾向と対策」があったはずだ。要するに目線を上げて低めの球を見極める。だが三人ともボール球に手を出して助けていた。

 18日は1点を追って2死一、二塁とした松井の前にそこまでだった。連敗は最後にきて松井にほんろうされた印象が残った。

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