認知症最大のリスク「難聴」をいかに防ぐか 若者世代がより危ない理由とは

ドクター新潮 ライフ

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可能な限りスピーカーで

 また、コロナ禍を機に自宅でのオンライン会議などが増えましたが、可能な限り、イヤホンやヘッドホンをつけるのではなく、スピーカーから音を聞く方がいいでしょう。

 日本社会には「あうんの呼吸」や「暗黙の了解」が存在し、特に高齢のご夫婦の間では会話などあまり必要ないと主張する方もいます。

 しかし、難聴は認知症発症リスク因子の「8%」を占めています。そして難聴は、すでに説明した通り社会的孤立やフレイルなどを誘発するため、潜在的には「8%以上」のリスクを内包しているのではないかと私は考えています。この決して小さくない難聴によるリスクだけは、ぜひとも軽く聞き流さないでいただければと思います。確実にQOLの維持・向上に役立つはずですから。

神崎 晶(かんざきしょう)
国立病院機構東京医療センター・聴覚障害研究室長。1969年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。ミシガン大学クレスゲ聴覚研究所研究員、慶應義塾大学耳鼻咽喉科専任講師、同大アレルギーセンター副センター長等を経て現職に。耳鳴り、難聴の診断・治療のスペシャリストとしてNHKにも出演。

週刊新潮 2023年6月15日号掲載

特別読物「世界5大医学誌が明らかにした『認知症』最大リスク因子 “清明な脳”を保つための『難聴対策』」より

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