岡田阪神に“「週べ」の呪い”か…DeNAと巨人が急接近、虎の不安要素を探る!

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優勝経験のあるベテランの不在

 そうは言っても、他球団と比べれば戦力的に充実していることは確かであり、昨年の楽天のように一気にBクラスまで転落するということは考えづらいが、リーグ優勝を狙うという意味で、もう一つ気になる点がある。それは優勝を経験したことのあるベテラン選手がチームに不在だということだ。

 阪神が最後にリーグ優勝したのは2005年で、当時を知る現役選手はもちろんいない。チーム最年長は二保旭と西勇輝の33歳(今年の満年齢)で、これは他の11球団と比べて、圧倒的に若い数字となっている。加治屋、二保、大竹の3人はソフトバンクで優勝経験はあるものの、中心選手として万全な実績があるわけではない。そんな経験のないチームなだけに、追われる立場となった時には力を発揮できないということも十分にあり得るのではないだろうか。

重圧となる球場やファンの雰囲気

 そして若いチームに重圧としてのしかかってくるのが阪神ならではの特殊な環境だ。球団関係者はこのように話す。

「関西圏での注目度、マスコミによる取り上げられる頻度は相当なものがあります。同じ関西が本拠地であるオリックスとは比べ物になりません。巨人戦の地上波での中継はほとんどなくなっても、関西では阪神戦が中継されていることが多く、朝の情報番組でもかなりの時間を阪神の話題で割いています。そうなると勝った試合や活躍した場面だけではなく、逆転負けやエラーのシーンも多く放送されます。選手はそういうネガティブな報道をシャットアウトしていても、当然ファンの多くは見ているわけで、球場の雰囲気もそれに引きずられることになる。負けが続いてくるとどうしても『またか』という空気になりますよね。エラーが多いのも、そういう球場やファンの雰囲気に引っ張られている部分があると思いますね」

 負けが込んだ時にチームの雰囲気を変えられるのは、優勝経験の豊富なベテランというケースが多いが、前述した通り、現在のチームではそういう存在は見当たらない。

 以前、2003年に18年ぶりのリーグ優勝を果たした時のエースだった井川慶氏に話を聞いた時には、中日でリーグ優勝を経験した星野仙一監督の存在がやはり大きかったと話していた。岡田彰布監督に星野監督のようなリーダーシップ、カリスマ性が発揮できるか、今後の戦いで重要になりそうだ。果たして、若いチームはこのまま失速せずにゴールテープを切ることができるのだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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