岡田阪神に“「週べ」の呪い”か…DeNAと巨人が急接近、虎の不安要素を探る!
「阪神特集号」のジンクス
18年ぶりのセ・リーグ制覇に向けて首位を走る阪神。しかし、交流戦では7勝10敗1引分で負け越し、逆に調子を上げてきたDeNAと巨人に差を詰められる事態と陥っている。スポーツ専門誌「週刊ベースボール」が「阪神特集号」を発売するとチームは失速するというジンクスが囁かれており、不安を感じているファンも多いのではないだろうか。【西尾典文/野球ライター】
特に大きな課題となっているのが打撃陣だ。開幕からの不振を脱したかのように見えた佐藤輝明が5月下旬から再び低迷。ホームランは9本とそれなりに出ているものの、打率は2割台前半まで下がり、6月13日のオリックス戦では2カ月ぶりにスタメンから外された。
また、トップバッターでありながら多くの打点も稼いでいた近本光司は、6月は打率1割台と苦しんでいるほか、新外国人のノイジーと今年ショートで復活した木浪聖也も成績は下降気味だ。
開幕からチーム全体でも多くの四球を選び、足を絡めた攻撃で下位打線からもチャンスを作って得点を積み重ねてきたが、チーム本塁打数はリーグ5位と長打力不足は明らかであり、投手陣の疲れが出てくる夏場にはこれまで以上に打ち負ける試合が出てくる恐れがある。
野手でのもう一つ大きなマイナス要因が守備面だ。昨年まで5年連続でリーグワーストとなる失策数を記録。今年はその改善に取り組むために前述したようにショートに木浪を起用し、中野拓夢をセカンドにコンバートしたものの、昨年を上回るペースで失策を重ねている。
もちろん「失策数イコール守備力」ではないとはいえ、他球団のレギュラーと比べて高い守備力を備えていると言える選手は、センターの近本とファーストの大山悠輔だけというのが現状である。
また、レギュラー以外の選手も失策が目立ち、守備固めとして期待できる選手が少ないというのもウィークポイントだ。今後、優勝を占う大事な試合でも、守備のミスが命取りとなるケースが出てくることも十分に考えられるだろう。
投手陣にも“不安要素”
チームとして最大の強みである投手陣にも、ここへ来て“不安要素”が続出しているのだ。特に、頭が痛いのが勝ちパターンのリリーフ投手に綻びが出てきていることである。今年から抑えを任せる予定だった湯浅京己は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した影響もあって、開幕直後に故障で離脱。5月下旬に復帰を果たすも、6月8日の楽天戦、6月15日のオリックス戦ではいずれも手痛い本塁打を浴びて逆転負けを喫し、再び二軍で調整することとなった。一軍での実績は昨年の1年だけであり、いきなり抑えを任せるのは荷が重かったのではないだろうか。場合によっては長期離脱という可能性さえも否定できない。
一方、湯浅に代わってクローザーを任せられた岩崎優は、6月17日のソフトバンク戦で勝利まで「あと1人」というところから逆転を許し、今季初黒星を喫した。
交流戦最終戦となった翌日のゲームでも、加治屋蓮や及川雅貴、浜地真澄、K.ケラーが揃って打ち込まれて大敗を喫した。岩崎に関しては、湯浅と違って実績も十分で、昨年も開幕で躓いたK.ケラーの代役として抑えでも結果を残しただけに、1度や2度の失敗でどうこう言う投手ではもちろんない。ただ、阪神のリリーフ陣全体が調子を落としてきていることは間違いない。
先発もここまでは3年目の村上頌樹と現役ドラフトで加入した大竹耕太郎が予想を上回る活躍を見せていたが、揃って6月は未勝利と徐々に相手チームからも研究されてきているようだ。昨年まで投手陣を支えていた西勇輝と青柳晃洋の復調が待たれるところだが、このままの状態が続くようであれば、リリーフ陣にかかる負担はさらに大きくなるだろう。
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