ある日、突然妻と交際しているという若い男性が出現…話を聞くうちに蘇った自分の過ちが最終判断に与えた影響とは
前編【先輩の妻とデキた不倫男の苦悩 彼女に「夫と3人で話合いましょう」と言われたが、揉めるのが嫌で…音信不通の果てに知らされた真実】からのつづき
吉岡大造さん(44歳・仮名=以下同)は、3年前、妻の静佳さんの不倫を知った。交際前、大造さんは会社の先輩の妻と関係をもち、挙句、彼女が先輩でも自分でもない第三の男の下へ走った“失恋”を経験していた。そんな傷心を癒してくれたのが静佳さんで、30歳のときに結婚。生活を「うちほどうまくいっている家庭はないと思っていました」と振り返る。
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彼自身も33歳となり、そろそろ子どもがいる家庭もいいなと思っていた。いつできてもいいように心の準備をしたが、なかなかできない。2年たつうち、静佳さんが焦り始めるのがわかった。
「でもふたりともちょうど仕事が忙しくなっていって。僕は数社合同のプロジェクトの一員に選ばれてやる気満々だったし、彼女は出張が増えた。仕事が楽しい、でも子どもがほしいと彼女は口癖のように言っていました。それでも今関わっている仕事が一段落しないと、安心して妊娠もできないのは彼女がいちばんわかっていたみたい」
仕事のために子どもをあきらめる気はなかったので、ふたりは仕事の合間を見て検査に行った。どちらにも不妊の原因はなかったが、なかなかいいタイミングがつかめず、治療に踏み切ることができなかった。
「そうまでして子どもをもつかどうかということも話しあいました。人生の第一目標が子どもをもつことになっていいのかどうか。でも結論が出なかった。今まで通り自然に暮らしていこうということになったんです。子どもがいてもいなくても、僕らはお互いを必要としあって生きていけると確信していました」
仕事が忙しいときは仕事に没頭し、一段落したらふたりで楽しむ。そんな生活も悪くない。大造さんはそう思っていた。子どもがいなくてもいい。そう思った矢先、静佳さんが妊娠した。彼が37歳のときだ。
産後、様子がおかしくなった静佳さん
静佳さんは「大変だけどがんばろうね」と笑顔を見せた。つわりもほとんどなく、元気なまま産休に入り、無痛分娩で女の子を出産して数ヶ月で仕事に復帰した。
「そこまではよかったんですが、やはりホルモンバランスの問題があったんでしょうか。復帰して3ヶ月ほどで妻の様子がおかしくなった。元気が出ない、自分が情けない、周りに迷惑をかけていると愚痴を言うようになって。静佳の愚痴なんて初めて聞きました。きみなら大丈夫と励まし続けたんですが、『私って結局、仕事には向いてないのかもしれない』と言い出した。うつ状態だったんでしょうね。医者に連れていったら、少し休養したほうがいいと。妻に仕事を休めというのはつらかったけど、彼女、本当に疲労困憊だったんでしょう。『少し休む』と。本当にしんどいんだなとわかったから、僕も仕事をセーブして、家でできる仕事は家でするようにして、子どものめんどうを必死でみました」
ふたりとも地方出身で、近くに頼れる親戚などはいなかったし、静佳さんはその時期、他人を家にいれるのを嫌がった。大造さんががんばるしかなかったのだ。だが、がんばったかいがあって、彼女は半年もすると通院以外にも少しずつ外に出るようになった。
「あるときなど、ひとりでカラオケに行きたいと言うんです。そういえば彼女はカラオケが好きだった。行っておいでと送り出すと数時間後、少し晴れやかな顔で帰ってきました。そうやって自分でできること、楽しめることを少しずつ再開していった。『あなたに迷惑かけてごめんね』ともよく言ってたけど、何のための夫婦なんだよ、一緒に生きていこうって決めたじゃないかと言ったら『私、幸せだわ』と。だんだん子どものめんどうも見ることができるようになって、1年後には職場復帰しました」
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