ロシア軍のT-72が壊滅状態の中、世界最強のウクライナ軍・レオパルト2が撃破されて分かった意外なこと
マラトクマチカの地雷原
ORYXはネット上に投稿された戦場の写真をチェックし、ロシア軍やウクライナ軍の被害を1つ1つ丁寧に確認している。そのため分析の評価は高い。
「ウクライナ軍が投入したレオパルト2は、A4とA6の2タイプです。A4は1980年代後半から90年代初頭まで生産され、A6は2001年に完成が発表されました。旧式型にあたるA4の防御力を考えると、ロシア軍に撃破されても頷けます。しかし性能に優れたA6でも地雷で被害を受け、擱座している写真もネット上では公開されました。原因としては訓練不足、攻め急ぎ、歩兵など他兵種との連携不足、といった可能性が考えられます」(同・軍事ジャーナリスト)
Forbes JAPANは6月14日、「反攻での損失続くウクライナ、戦車などの大幅な追加供与訴え」の記事を配信し、最前線のレオパルト2がロシア軍によって撃破された様子を伝えた。
《マラトクマチカ南郊にあるロシアの地雷原突破を試みた8日の攻勢は、特に大きな損失を生んだ。第33機械化旅団と第47強襲旅団はこの際、13両中4両のレオパルト2A6、109両中16両のM2ブラッドレー歩兵戦闘車、6両中3両のレオパルト2R工兵車を瞬く間に失ったとされる》
鹵獲を目論むロシア軍
「マラクトマチカはザポリージャ州にある村落です。ここでロシア軍が埋設した地雷原に先頭のレオパルト2が触雷。右往左往しているうちに、後方のレオパルト2も地雷にやられてしまい、戦車部隊が立ち往生したところを個別撃破されたことが写真から分かります。対戦車戦としては、歩兵の教科書に載っているような基本的な戦術をロシア軍が実施し、ウクライナ軍に対して戦果をあげたわけです」(同。軍事ジャーナリスト)
ウクライナ側は、更に戦車が必要だと訴えているようだ。Forbes JAPANの記事には、以下のような記述がある。
《アンドリー・メルニク外務次官はドイツのテレビ局NTVに対し、独政府がウクライナへの供与を表明しているレオパルト2の数を現在の18両から3倍の54両に増やすべきだとし、「ウクライナ軍は、さらに多くの欧米製の戦車、歩兵戦闘車などの装甲車を緊急に必要としている」と語った》
とはいえレオパルト2のうち、2001年に完成が発表されたA6となると、やはりNATOにとって鹵獲は避けたい事態だという。
「ロシアはA6をぜひとも鹵獲し、まずは中身を調べたいでしょう。さらに戦果を誇示するプロパガンダに使いたいと考えているに違いありません。そのためウクライナ軍は『損害を受けたレオパルト2はできるだけ回収するか、それができなければ破壊する』ことを徹底する必要があるのです。そうしないと、今後の供与には及び腰になるNATO加盟国が現れても不思議ではありません」(同・軍事ジャーナリスト)
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