暗号資産叩きに走る米証券取引委員会の狙い 銀行不安の助長、Z世代から猛反発も

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暗号資産市場は“新たな危機の震源地”になる?

 ルール整備の見通しも不透明な状況にあることから、業界関係者の間からは「米国の暗号資産取引所はもうおしまいか」との嘆き節が聞こえてくる。

 米国では今年3月以降、地方銀行の破綻が相次ぎ、金融システムへの信頼が揺らいでいる。SECの措置には、投資家保護が薄いとされる暗号資産市場が新たな危機の震源地になることを未然に防ぐ狙いがあったことは間違いないだろう。

 前述のゲンスラー委員長は「バイナンスの創設者であるチャンポン・ジャオCEOが顧客の資金を不正に使用した」と指摘。昨年12月に逮捕された暗号資産取引所大手FTXの創業者、サム・バンクマン=フリード被告(詐欺罪などで訴追されている)との類似性を示唆している。

 世界的に知名度が高かったFTXの破綻は、業界全体に激震をもたらした。関連会社の損失穴埋めのために顧客資産を流用していたことが明らかになったからだ。

 暗号資産全般に対する信頼を失墜させたFTXのスキャンダルは、暗号資産交換業者の取引銀行の破綻にまで発展した。

 3月8日、資産規模で全米106位のシルバーゲート銀行が経営破綻した。

 同行は2013年から暗号資産関連事業に注力し、他の銀行が引き受けない暗号資産関連事業者に預金口座や決済サービスを提供して急成長した。だが、FTXが破綻した影響で2014年以降、約30倍に拡大した預金が大量に引き出されたことが災いした。

 シルバーゲート銀行はその後の地方銀行破綻の先駆けとなったのだが、皮肉なことにそのせいで、米国では再び暗号資産ブームが生まれている。

 調査会社モーニング・コンサルトによれば、4月に「少なくとも1種類の暗号資産を所有している」と回答した米国人は22%となり、今年1月から4ポイント上昇した。最も多く保有されているのはビットコインだ。ビットコインの価格はかつての高値には及ばないが、金融不安を背景に上昇傾向にある。

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