暗号資産叩きに走る米証券取引委員会の狙い 銀行不安の助長、Z世代から猛反発も

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党派対立が進む米国では暗号資産も政争の具か

「これ以上、デジタル通貨は必要ない。我々はすでにデジタル通貨を持っている。米ドルやユーロ、円と呼ばれるものであり、現在はすべてデジタルだ。我々はすでにデジタル投資を行っている」

 米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長は6月6日、出演した米CNBCテレビの番組で、暗号資産(仮想通貨)に対して極めて厳しい見方を示した。

 6月に入り、SECは暗号資産業界への締め付けを強めている。5日に世界最大の暗号資産交換所のバイナンスを、6日は米国最大の暗号資産交換所のコインベースをそれぞれ提訴した。

 SECは提訴の理由として「バイナンスとコインベースは暗号資産を『有価証券(株式や債券など財産的価値のある権利を表す証書)』として届け出ないまま取引を仲介しており、『証券取引所』としての登録を怠っていた」ことを挙げている。

 米国では暗号資産に的を絞った法規制が存在しないため、SECは「証券法などに基づき、伝統的な金融機関や証券取引所と同様の規制を受けるべきだ」と主張している。対してバイナンスらは、「暗号資産を『有価証券』と一方的に見なすのは問題だ。SECは効果的な規制の枠組みの整備という役割を放棄した」と猛反発している。

 当局と業界の対立が激化する状況を受けて、米議会でも暗号資産に関するルール整備の動きが出ている。共和党のマクヘンリー下院金融サービス委員長らが、交換業者などの登録制を導入し、暗号資産の性質に応じて当局の監督下に置く法案を準備しているが、上院で多数派を占める民主党の支持は得られていない。

 党派対立が進む米国では暗号資産も政争の具になった感が強い。

 共和党ではテッド・クルーズ上院議員らが暗号資産を支持する一方、民主党ではエリザベス・ウォーレン上院議員らが「アンチ暗号資産軍団」の結成を宣言している。

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