武蔵野美術大学出身の林家たい平が今も絵を描き続ける理由とは 「二兎、三兎を追うことは、無駄じゃない」
武蔵野美術大学卒業という異色の経歴
東京・東中野にある自宅アトリエで一心不乱に絵筆を振るうのは「笑点」でおなじみの人気落語家、林家たい平(58)。“モデル役”のひな人形を見つめる表情は真剣そのものだ。武蔵野美術大学卒業という経歴をもつたい平が今でも絵筆を握り続ける理由とは――。
***
【写真を見る】アトリエでのたい平 筆を握る表情は真剣そのものだ
「おかげさまで出演する落語会は、独演会、二人会を合わせると年間200回以上。これに寄席の定席が加わりますので、1年に500席くらいは高座にあがっています。さらに月に2度、『笑点』の収録もあり、ほぼ毎日、人前でしゃべりっ放しの状態。何もしゃべらず、絵筆を執って“無”になれる時間はぼくにとって貴重なのです」
と語るたい平。
もともと武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業という異色の経歴の持ち主。就活では大手広告代理店のデザイナー職を受験したが、もとより就職する気はなく、大学3年の時には、将来落語家になることを決意していたという。林家こん平さんの弟子になったのは大学卒業後の1988年のこと。
その経歴ゆえに、入門当初から落語家仲間や席亭などに絵を頼まれることが少なくなかった。浅草演芸ホールのプログラムの表紙カットは長年描き続けている。
[1/2ページ]