親バカ・岸田首相の“長男”が更迭 それでも「世襲・二世・コネ」には意味があると言える理由

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敏腕営業マン

 だが、私の古巣の会社に「ワシの息子(娘)をコネ入社させてもらえんかのぉ、ガハハハ!」なんて言ってくる人間はどう考えても数百人、いや、1000人単位でいただろうから、その中でも選ばれし30人なのである。私自身にコネはなかったが、いわゆる「青田買い枠」で入っており(今はこの制度はないという)、指定校の中で入社できる枠の中に滑り込んだ。まぁ、これも一種のコネだろう。

 コネ入社の存在を知ったのは、部署に配属された1997年。局長室へ挨拶に行き、「お前は誰の紹介だ?」とS局長から聞かれた時のこと。当時はこの言葉の意味がよく分からなかったが、OB訪問をして私を推してくれた人物のことかと思い「マーケティング局のIさんです」と言ったら、「誰だそいつ? 何年入社だ?」と聞かれた。「1992年入社です」と答えたところ、S局長も「そりゃ、コネを駆使するには若すぎるわな」と感じ、私がコネ入社ではなく、青田買い入社であることを理解したのだ。だから、大企業というものはコネ入社を必要な採用方法と考えているきらいがある。そりゃそうだ。たとえ親の威光であってもその人物がいるだけで、何億円もの売り上げが期待できる可能性があるのだから。だったらコネ入社組は敏腕営業マンといえよう。

世襲が向いている職業

 その後、華やかなコネ入社組の人々と仕事をすることになるのだが、感じたのはスマートな立ち居振る舞いと、高級なスーツから醸し出されるハイソなオーラ、そして相手がどれだけエラい人であろうともまったく怖じ気づかない様だ。会食の際もテーブルマナーが洗練されているのは大前提で、様々な蘊蓄を披露し、クライアントが気持ちよくなるよう配慮をし続ける。これを時々目の当たりにするたびに私は「コネ入社組ってすげー!」と思ったのである。それは同時に「世襲のヤツらもすげー!」ということに繋がっていく。

 私自身は公立の小中高大へ通ったため、このような人々と出会うことはなかった。大学時代も基本的には地方の公立高校No.1の出身者とチェーン居酒屋へ行くような日々を過ごしていた。それが会社に入った途端、「階級」の差をまざまざと見せつけられることとなる。だが、これについては「オレとお前、役割が違う」ということをすぐに悟った。オレは営業向きではなく、企画をするからお前は営業をしろ、ということだ。この時、一様にコネ入社を否定する気持ちは失われたのである。

 政治家も同様なのではなかろうか。仮に、世襲でない議員が75歳になった時、この人物は息子・娘に出馬させるだろう。変な言い方なのだが、結局、政治家というものは「世襲が向いている職業」なのかもしれない。「世襲の既得権益は日本だけー!」などと批判する向きもあるが、アメリカのブッシュ親子、北朝鮮の金日成・金正日・金正恩なんて完全に世襲ではないか。トランプ氏の娘のイヴァンカ氏だって政治の中枢にいたわけで、世襲である。

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