親バカ・岸田首相の“長男”が更迭 それでも「世襲・二世・コネ」には意味があると言える理由

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 岸田文雄首相の長男・翔太郎氏(32)が、首相公邸の階段で「組閣ごっこ」的な写真を愉快な仲間たちと一緒に撮影したことが明るみに出て、公設秘書を更迭された。この件で噴出したのが「世襲批判」である。基本的な論調としては以下の通りだ。

世襲が幅を利かせるから

・世襲のボンボンは世間知らずで非常識で庶民の気持ちが分からない
・世襲がまかり通る日本社会は腐っている。実力がある人が活躍できないひどい社会
・世襲というものは利権であり、腐敗の温床になる
・親が優秀だとしても、その子息が優秀とは限らないのにそのコネで要職に就くのはいかがなものか
・世襲のバカ息子は甘やかされて育ったから万能感があり、浮世離れしている

 こうした意見があったうえで、ドッカーンと議論は飛躍して「世襲が幅を利かせるから日本はダメなんだ!」と来る。鳩山由紀夫さんのことを言ってるんですかね? まぁ、それはさておき、私自身は、世襲はそこまで悪くはないのでは、とも思っている。とはいえ、よく「100メートル走でいきなり80メートル地点からスタートする」的な言われ方をされるが、それは事実だろう。

 しかし、人間というものはまったく平等ではなく、生まれた境遇によってその後の人生は変わるもの。翔太郎氏に対しても「ゆたぼんか亀田大毅に似てる」「32歳にしては幼い顔をしている」などとルックスがいじられる形となったが、とにかく地位のある親の元に生まれた人間であれば、いくらでも揶揄していいし、バカ認定するのが可能というのがこの世の常である。理不尽だな。ちなみに岸田首相も世襲である。

コネ入社でも競争が激しい

 私は某大手広告代理店に新卒で入ったが、いわゆる「コネ入社」の人が多い会社とされていた。「コネ」も世襲の一種である。後で聞いて仰天するような家柄の息子・娘とも接することになるのだが、彼らは極めて優秀だったと今でも思う。まぁ、一人どうしようもない同期はいたが……。

 彼はTVCMをバンバン打つ、当時イケイケの会社の御曹司だったが、日々、高級自家用車で通勤し、会社の入ったビルに1時間600円也の駐車料金を払っていた。10時間停めれば6000円である。しかも、配属直後の数ヶ月で年間の有給休暇をすべて使い切ってしまうというダイナミックさ(非常識さ)があった。彼の部署の人々は彼を無能扱いしていたが、私は飲み友達として好きなヤツだった。

 こうしたボンボンの中で無能と感じたのは彼だけで、他は極めて優秀だと感じていた。その前提となるのは「コネ入社・世襲であってもその中での競争が激しい」という厳然たる事実である。政治の話に入る前にコネ入社の話を続けるが、私の同期は66人。好景気の時は150人ほどを採用していたが、時はバブル崩壊後、採用を抑えていた。コネ枠がいくつあるのかはよく分からないが、せいぜい30程度だろう。

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