来年の松本幸四郎「鬼平犯科帳」に新たな撮影技術が導入 LEDパネル165枚で期待される効果は

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熟練スタッフも認める新技術

「今回は50センチ四方のLEDパネルを165枚使用しています。LEDは自ら発光するので、土埃が光の中でキラキラと舞ったり、人物の顔の影なども太陽光に近い形で撮影できる。光量も変えられますから、照りつけたり、うす暗くしたり、撮影チームの自由度が高まる技術です。カット数が増えれば、費用面もどんどんコストパフォーマンスが向上します。天候にも季節にも左右されませんから、どんどん使い倒してくれればいい。もちろん、LEDパネルに近づき過ぎればドットが見えるなど弱点もありますが、進化は早いのでいずれ克服され、さらに使いやすくなるでしょう」(結城氏)

 長くこの撮影所で仕事をする照明や撮影のスタッフも、LEDウォールについて「臨場感があっていい」「ライティングに使えるのは利点」と導入を歓迎する。パネルを設置するため、既存のセットの土塀の壁をさっさと削ってしまったという。やると決めたら即動く。この仕事の速さもこの撮影所の伝統だ。

 新しい「鬼平犯科帳」には、技術面の新しい風も吹いているのである。

ペリー荻野(ぺりー・おぎの)
1962年生まれ。コラムニスト。時代劇研究家として知られ、時代劇主題歌オムニバスCD「ちょんまげ天国」をプロデュースし、「チョンマゲ愛好女子部」部長を務める。著書に「ちょんまげだけが人生さ」(NHK出版)、共著に「このマゲがスゴい!! マゲ女的時代劇ベスト100」(講談社)、「テレビの荒野を歩いた人たち」(新潮社)など多数。

デイリー新潮編集部

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