【陸自・小銃発射事件】採用試験で行われるYG性格検査 たとえ犯人のような男でも今の自衛隊は受け入れざるを得ない事情

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性格検査の実施

「報道が事実かどうかはまだ分かりませんが、仮に犯人が勝手に武装したとなると、いくら自衛官でも制止できるはずがありません。強い殺意を持って無抵抗の隊員に発砲したのですから、3人が死傷したのはある意味で当然でしょう。また共同通信の報道によると、最後は丸腰の隊員が犯人を取り押さえたそうです。その勇気を賞賛する人もいるでしょうが、冷静に考えれば、さらなる犠牲者が出ていても不思議ではない状況だったと思います」(同・関係者)

 15日に放送された「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列)には、陸自の第36代東部方面総監を務めた渡部悦和氏が出演。陸自では入隊時に、矢田部ギルフォード性格検査(YG性格検査)を実施していることを明かした。

 渡部氏は事件の一報を聞くと、YG性格検査における「情緒・不安定」で「性向・内向」のE型(不都合が生じると殻に閉じこもる傾向がある。芸術や技術的な異才を発揮する人が多い)ではないかと疑ったという。

 だがその後、「情緒・不安定」で「性向・外向」のB型(積極的で活発に取り組み、リーダーシップもある。不都合が生じると情緒と社会適応性が表面化しやすい。力を発揮しようとする)の可能性を考えたという。

辛い新隊員教育

「自衛隊が性格テストを活用しているのは事実ですが、それでも今回の犯人のような男が入隊してくるのを完全に阻止するのは難しいでしょう。ここ10年間、自衛隊の応募者は減少が続いており、採用に苦労しているからです。たとえ担当者が人格や性格に難があると感じても、貴重な人材を門前払いするという選択肢はありません」(同・関係者)

 自衛隊は予算の関係から、年度ごとの採用者数があらかじめ決まっている。「今年は優秀な人材が目立つから多めに採用しよう」、「今年は不作だから減らそう」というフレキシブルな採用はできない。

「容疑者が受けていた新隊員教育は、ベテラン隊員でさえ『特に教育の前期が、長い自衛官人生の中でも一番辛い日々だった』と振り返るほど過酷です。いわゆる“娑婆っ気”を抜くため、猛訓練を重ねます。とはいえ、新隊員教育で無理矢理にでも隊員を育て上げてきたことも事実です。隊の内部では『箸にも棒にもかからなかった奴だけど、猛訓練で一人前の隊員に成長した』というエピソードを誇らしく語る隊員も少なくありません」(同・関係者)

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