【メジャー初V】金谷拓実が見せた久しぶりの名勝負 17番大ピンチの攻防を振り返る

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金谷選手の表情が……

 金谷選手は何度もこういう大ピンチを味わっているのか、ドレスした時の表情は「やってやる!」という気構えが見えた。充分に練習していたのだろう。彼はイチかバチかアッパー気味に振り上げ、ボールを高く上げた。ボールは池とグリーンエッジの間に、池ギリギリの所に落ち、そこから10メートル程バウンドし、こともあろうにカップの50センチメートルに寄ったではないか。

 金谷のあとから打った宋、中島に強烈なボディブローを喰らわせるスーパーショットだった。2人とも5~10メートル離れた所にオンさせ、やっと2パットのパーを決める中、バーディを決めて-11とした。2人は金谷に2打差後れをとった。ここで勝負ありだった。

 18番で金谷は左バンカーに入れるが、残り177ヤードを8番アイアンで狙った。ミスして40ヤード手前のラフにまた入ったが、そこから1メートルにつけパーで切り上げ2位に2打差で優勝した。いかにも「人生諦めたらアカン」と教えているようで、久しぶりに名勝負を見せてもらった。幸先のいい試合だった。JGTOの青木会長の喜ぶ顔が想像できる。

早瀬利之(はやせとしゆき)
作家。長崎生まれ。鹿児島大学剣道部出身。剣道5段。師範。旧陸軍戸山流居合愛好家。元アサヒゴルフ編集長。ゴルフと剣道関係作品に『ジャンボ―尾崎将司挫折と栄光の軌跡』『杉原輝雄もう一度勝ちたい』『気の剣―剣聖十段斎村五郎』『昭和武蔵・中倉清の生涯』。『タイガーモリと呼ばれた男』で第2回ミズノスポーツライター賞受賞。石原莞爾研究家。

デイリー新潮編集部

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