【メジャー初V】金谷拓実が見せた久しぶりの名勝負 17番大ピンチの攻防を振り返る

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 国内メジャー第1戦のBMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ(6月1日~4日)は、17番のティショットを左ラフに入れて大ピンチに見舞われた金谷拓実が、バーディを決めて2位に2打差をつけて優勝した。

 金谷は15番で4オン2パットのボギーを打ち、中島啓太、宋永漢と10アンダーで並んだ。次の16番ショートホール181ヤードを右3メートルにつけてバーディチャンスをつくり、競う2人に強烈なプレッシャーを与えている。

 もしも16番で10ヤード前後にブレていたら競う2人を楽にさせている。しかし金谷は勝負の組み立てを知っていてか積極的に攻めている。バーディパットは外したものの、気持ちの上では大きくリードしていた。同伴者の中島、宋はいずれも長いパットを寄せ切れず、3パットのボギーと崩れる。シングで言えば判定勝ちに等しい。勝負ありに見えた。

最大の難所

 17番ホールはこのコースの最大の難関ホール。池越えの486ヤード。心もち右に曲がっているが、何が難しいかと言えば、2打地点のライがダウンヒルライ(左足下がり)だということ。グリーン手前のエッジまで140~150ヤード。しかも池越え。グリーンは受けグリーン。どんな名人でものらないから打つ時のボールよりも弾道はワンクラブ分低くなる。したがってボールはグリーンに落下してから15ヤードほど上に転がる。

 グリーンにのっても最終日のピンは池に近く、速い下りラインではタッチがあわせにくい。強めにパットすると池に落ちかねない。こういうグリーンではピンの手前にボールを止めることだが至難のワザ。ピンの手前3メートル上、または左右に止めるだけでも99点の上出来と言える。そのためには何が何でもまずはティショットのボールをフェアウェイに置き、2打でバックスピンをかけて高く上げ、止まるボールが求められる。それでもカップより2~3メートル上に止めるのが関の山だ。

 ナイスショットしてフェアウェイにボールを置いたのは宋選手だった。中島選手は右のセミラフ。最悪だったのは金谷選手本人。彼のボールは10センチメートルもの深いラフの中に沈んでいる。ダウンブローに打ち込まないと間違いなく池に捕まっている。

 宋選手はカップから10メートル程右、中島選手は右5メートルにオンした。これがベターな2打である。ところが金谷のライは心もちツマ先下がり、左足下がりのライ。しかもボールは深いラフの中。残りはピンまで199ヤード。誰がどう見ても大ピンチ。池に入れたら4打の池越えショットになり、2パットで沈めるとダブルボギー。一気に-8へ後退する。

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