ヤクルト、「絶対大丈夫」から一転低迷へ…不振の理由は“球団の体質”にあり!
チームの課題は“投壊”
セ・リーグ王者が苦しんでいる。昨年までリーグ連覇を達成し、今年も優勝候補と見られていたヤクルトだが、5月には引き分けを挟んで12連敗を喫するなど低迷。6月に入って少し成績は上向いているとはいえ、リーグ3連覇に早くも“赤信号”が灯っている。【西尾典文/野球ライター】
チームの大きな課題は、弱体化した投手陣だ。6月11日終了時点で、規定投球回数に到達しているのは小川泰弘のみ。その小川も防御率は4点台と安定感を欠いている。リリーフは、セットアッパーの清水昇と、今年から抑えを任されている田口麗斗を除けば、安心して任せられる投手がいない。
もっとも“投壊”は、今年から起こったことではなく、長年の懸案事項となっている。リーグ連覇を達成した過去2年間も、二桁勝利をマークした投手は0で、規定投球回数に到達した投手は、昨年の小川だけだった。
先発投手の弱さをカバーしてきたリリーフ陣は、抑えのマクガフ(現・ダイヤモンドバックス)が抜けたほか、“勤続疲労”で成績を落としている投手が目立つ。二軍の投手成績(6月11日終了時点)をみても、チーム防御率は4.86。これは、イースタンリーグで圧倒的にワーストだ。
ドラフト上位指名選手が揃って苦戦
さらに気になるのは、ドラフトで獲得した投手が一軍の戦力になっていない点だ。2013年以降のドラフトで指名された投手のうち、完全に一軍の主力に成長したのが、前出の清水(2018年1位)しかいない。
上位で指名した選手のうち杉浦稔大(2013年1位、現・日本ハム)や竹下真吾(2014年1位、引退)、風張蓮(2014年2位、引退)、寺島成輝(2016年1位、引退)が既に球団を去っている。
それに加えて、奥川恭伸(2019年1位)や吉田大喜(2019年2位)、山野太一(2020年2位)、山下輝(2021年1位)ら、故障に苦しんでいる選手が少なくない。
ドラフト1位ルーキーで即戦力として期待の高かった吉村貢司郎は、開幕からローテーションを守っていたものの、怪我で戦列を離れている(6月12日現在)。トレードで獲得した選手や他球団を自由契約となった選手を上手く再生させているというのは強みだが、ここまで上位で指名した選手が揃って苦戦していれば、投手陣の“台所事情”が苦しくなるのも当然と言えるだろう。
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