最下位、観客減、移転問題…藤浪晋太郎が苦境のアスレチックスでファンから大注目されている理由

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観客減の本当の理由

 集客が悪いことは、チームが「弱い」ことが最大の原因だが、球場問題も影響しているようだ。

 そもそも、近年のアスレチックスは移転か、新球場建設かで揺れていた。理由は、本拠地オークランドコロシアムの老朽化だ。開業は1966年。それよりも長い歴史を持つ球場もメジャーリーグにはあるのだが、レッドソックスのフェンウェイパーク、カブスのリグレーフィールド、ドジャースのドジャースタジアムは定期的に大幅修繕工事がされてきた。

「オークランドコロシアムは1995年から2年かけて改装工事がされましたが、それはアメリカンフットボールのレイダースを再誘致するためでした。同球場はアメフトとの兼用ですが、野球のことは考えていないような改装内容だったんです。同球場はファールテリトリーが広く、他球場ならスタンド・インでファールになる飛球も捕球されていました。海浜風もひどく、ホームランも出にくい。アスレチックスはこの2点の改善をお願いしましたが、ファールテリトリーが広いほうがアメフトの試合がやりやすいと思ったのでしょう。当時、バックネットやベンチ内の椅子も交換してもらえませんでした」(現地メディア関係者)

 通路が暗い、壁のヒビ割れがひどい、トイレやシャワールームなどの水周りの劣化、スタンドの一部客席が壊れそう…。昨夏の米オールスターゲーム中の定例会見で、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏(64)は、オークランドコロシアムについて「現時点でメジャーリーグの球場の質を維持していない!」と、お祭りムードに水をさす、異例の発言をしたほどだった。

 球場問題は「待ったナシ」となり、今年5月15日、アスレチックスはネバタ州ラスベガスの本拠地移転を発表した。オークランド市との交渉は決裂したというわけだ。

「18年ごろから、球団とオークランド市は球場問題で何度も話し合いをしてきました。その都度、『ラスベガスも興味を示している』とは伝えられていました。今年5月の発表まで大幅修繕、新球場建設のどちらになっても『オークランド残留が有力』と見られていました。球団とオークランド市の交渉が決裂したのはお互いに歩み寄ろうとしなかったことが一番の理由でしょう」(前出・同)

 オークランド市が球場改修に積極的ではなった理由は、チーム低迷による不人気だった。対してアスレチックスは昨年10月、不人気の理由の一つに、球場近隣の治安がイマイチであることを匂わせていた。観客が増える、つまり、球場周辺が明るく賑やかになれば、収益もアップし、補強費も捻出できる。明るく賑やかになれば周辺地域の風紀も良くなっていき、双方の話し合いは円満、かつ一気に決着する。一時は、そう思われていた。

「同じア・リーグ西地区のエンゼルスは大谷効果で3万人以上の観客数を確保しています。エンゼルスと絡むことで起死回生を狙ったんだと思います」(前出・米国人ライター)

 またオークランド市は、「新戦力の藤浪が球団と地元の橋渡し役にもなってくれるのでは?」とも期待していたという。藤浪の開幕デビュー戦は4月1日のエンゼルス戦、それもホームゲームでの一戦だった。しかし、3イニング目に阪神時代からお馴染みのノーコン病が発病し、3回途中8失点と散々な結果だった。

 アスレチックスは「オオタニの高校時代からのライバル」と試合前から懸命にピーアールしたが、オープン戦の段階で藤浪の制球難がバレていたせいか、スタンドはガラガラ…。そのころからアスレチックスとラスベガス側が急接近したのではないか、と米メディアは見ている。

 結局、アスレチックスファンからは、先発を外され救援に回った藤浪がマウンドに上がるたび、

「ラスベガスは3万人収容可能な開閉式屋根の新球場を造ると言っている。新球場に移転したい、オークランド市に見切りをつけてもらいたいから、負けるためにあえて藤浪を使い続けているんじゃないか?」

 などと邪推するようになった。藤浪が登板=負ける=観客減という連想ゲームである。しかし気がつけば3勝。オープナーの役割も果たしているのだから、藤浪の「対応力」も大したものである。

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