専門医が教える「血液を正しくコントロールするための食品」 長生きのためにすべき自助努力

ドクター新潮 ライフ

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血液はどのようにして作られるのか?

「人生は血液と共に終わる」と、健康における血液の重要性を説く東邦大学名誉教授(平成横浜病院総合健診センター)の東丸貴信氏。前回は血液コントロールのために「これだけは守るべき4つの生活習慣」をお届けした。今回もまずは、血液に関する知識を深めることから始めよう。

 生命の維持に必須の血液は、そもそもどのようなメカニズムで生成されるのか。東丸名誉教授は、年代によって造血する器官は変化すると解説する。

「母親の胎内にいる初期は、肝臓や脾臓が造血します。5カ月頃に造血組織が順次萎縮していき、出産されるまでは成人期造血器官である骨髄の役目です。その後、幼児のときは鎖骨や脛骨が造血しますが、子供では大腿骨や肋骨での造血が増えていきます。さらに加齢すると、体躯の胸骨や脊椎、骨盤、リンパ組織など。つまり、年齢を重ねるにつれて胸骨、椎骨、骨盤での造血比率が上がるということです」

 血液の55%を占める血漿は9割が水分である。残りの45%は血球(血液細胞)で、そのうち約96%は酸素や栄養などの運送を担当する「赤血球」。残りは、細菌やウイルスなどの外敵、体内に発生したがんなど生体に対抗する「白血球」と、止血作用を持つ「血小板」だ。これらすべての血球は、造血幹細胞を基にして造られる。造血幹細胞が分裂による増殖を繰り返して、様々な血球に分化し、成熟していくのだ。

「白血球には種類があります。骨髄芽球を経て成熟した好中球(細菌や真菌など異物を食べたりして排除する)や好酸球(寄生虫のような大きすぎて貧食できない異物を傷害させる機能)、好塩基球(自然免疫系の一部。寄生虫感染やアレルギー反応に対する体の防御にかかわる)、単芽球を経た単球(細菌などの異物を細胞内に取り込み、一部を細胞表面に提示して、免疫反応などで体の防衛を始める司令塔)、リンパ芽球から成熟したリンパ球(免疫反応でウイルスなどを攻撃排除する)です。また、巨核芽球・巨核球を経て成熟した血球は血小板です」

 こうした複雑な過程を経て造られた血液は、就寝中もくまなく血管を流れる。さらに、それぞれの血球が持つ機能は、流れている肉体の命が尽きるまで働く。だからこそ「血液の正しいコントロール」は、健康で長生きするための大原則に他ならない。

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