10代の視聴者が観ている春ドラマ 3位「だが、情熱はある」2位「王様に捧ぐ薬指」1位は?

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TVerの再生回数を人気度の指標にできない理由

 次は6位以降である。

6位:日本テレビ「Dr.チョコレート」(6月3日、土曜午後10時)
T層2.2%、コア2.9%、個人3.9%(世帯6.5%)

7位:TBS「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」(同2日、金曜午後10時)
T層1.9%、コア1.9%、個人3.5%(世帯5.9%)

8位:テレ朝系(制作・朝日放送)「日曜の夜ぐらいは…」(同4日、日曜午後10時)
T層1.7%、コア1.2%、個人2.5%、(世帯4.6%)

9位:フジテレビ「わたしのお嫁くん」(5月31日、水曜午後10時)
T層1.5%、コア2.2%、コア3.1%、(世帯5.2%)

10位:テレビ朝日「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(6月1日、木曜午後9時)
T層1.3%、コア1.7%、個人4.2%(世帯7.6%)

 6位の「Dr.チョコレート」は、白山乃愛(10)演じる10歳の天才外科医が、坂口健太郎(31)が扮する仲間たちとどんな患者も治す。無菌状態ではない場所で繰り返し開腹手術をするなどやはりリアリティーには欠けるが、分かりやすく、テンポも良い。

 8位の「日曜の夜ぐらいは…」は、清野菜名(28)が演じるファミリーレストラン店員ら3人の女性の苦悩と夢を描く物語。一定の人生経験を積んだ視聴者のほうが共感しやすい気がするが、T層の支持もある。最近では珍しく、ストレートに若者の友情を描いているところが好感を抱かれているのかも知れない。

 ベスト10圏外のテレビ朝日「特捜9 season6」(5月31日、水曜午後9時)の場合、個人視聴率は5.7%、世帯視聴率は10.4%と高い。一方でT層は0.5%、コアは1.5%。世代によって好むドラマには大きな差があるのが分かる。

 ほかにTVerの再生回数も人気度の指標にしようとする動きがあるが、これは難しい。各局でスタートラインが大きく違うためだ。

 スタートラインを変えているのは各局の有料動画配信サービス。日本テレビには会員数約260万人の「hulu」、テレビ朝日には同約90万人の「TELASA」、TBSとテレビ東京には同約370万人「U-NEXT」、フジには同100万人の「FOD」がある。

 これらの会員は放送中のドラマも観られるからTVerはまず使わない。全ての会員になっている筆者もそう。TVerにはCMがあるし、一定期間が過ぎると観られなくなってしまうためである。

 すると、有料動画配信の会員数が少ない局ほどTVerの再生回数では有利になってしまう。各局が同条件にはならない。そもそも高視聴率番組ほどTVerで再生されないというジレンマも置き去りにされがちだ。

 今後は10代向けのドラマが増えるだろうが、一方で高齢者向けドラマが消えることもないはず。結婚相手を探すマッチングアプリのCMを若者が観ないドラマで流しても仕方がないし、健康のためのサプリメントのCMを若者向けドラマで放送しても意味が乏しいからだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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