ロシアが新たにウクライナのダムを爆破 破壊工作は旧ソ連時代から 専門家が指摘する「究極の脅し」の意味は?

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究極の“脅迫”

 そしてロシアが国際法を軽視していることは、NATO加盟国に対する“究極の脅迫”としても機能するという。

「2つのダムが破壊されたことで、ウクライナは甚大な被害を被りました。あまりの規模に、被害の全貌が掴めていないほどです。特にカホフカ水力発電所のダム決壊では広大な穀倉地帯が浸水し、農業への被害が懸念されています。ウクライナは世界有数の農業国ですから、世界的な食糧危機に発展するのではないかと心配する声もあるのです。これほどの被害を与えてもロシアが平然としているのは、『次は核兵器を使うぞ』という無言のプレッシャーをかけているつもりなのでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 カホフカ水力発電所のダムが決壊したと伝えられたのは6月6日。そしてウラジーミル・プーチン大統領(70)は9日、「7月、隣国のベラルーシに、戦術核兵器を配備する」と発表した。

 国外に戦術核兵器を配備するのは、ソ連崩壊以降は初めてとなる。もしプーチン大統領がダム爆破を指示したのなら、なかなかのタイミングだ。

 また、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者、エフゲニー・プリゴジン氏(62)も核兵器の使用に関して発言を行っており、注目を集めている。

 在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏は6月11日、「『ロシアは自国領内で核兵器を使うのではないか』ワグネル創設者が懸念 核使用失敗の可能性も示唆 米報道」との記事をYahoo!ニュース個人で配信した。

プリゴジン氏の皮肉

 プリゴジン氏はロシアメディアの取材に応じ、「ロシアが自国領内で小さな核爆弾を投げるという卑劣な考えを思いつくのではないかと懸念している」と述べたという。

 ウクライナと国境を接するロシア領のベルゴルド地域では、反プーチン武装集団「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍団」が戦闘を続けている。もしウクライナ軍が援軍をベルゴルド地域に派遣したら、ロシアは戦術核兵器の使用に踏み切る可能性があるとプリゴジン氏は指摘したのだ。

 ただし、ロシア軍における兵器のメンテナンス状況を考えると、核兵器が実際に爆発するかどうかは怪しい──プリゴジン氏は、こう付け加えたという。

デイリー新潮編集部

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