新人王は当確、首位打者やMVPも……評価が上がり続ける「吉田正尚」に死角はないのか

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首位打者は確実、MVPも?

 レッドソックス・吉田正尚(29)が「賞レース予想」のオッズでダントツの1位に選ばれた。

 ペナントレースはまだ中盤に差し掛かったところ。タイトル争いや賞レースの予想をするのは早すぎる感もないではないが、そこはお国柄だろう。シーズン開幕前や序盤戦にタイトルホルダーを予想するのは日本でもおなじみだが、米国では大論争にも発展する。

 昨季のア・リーグMVP争いで「アーロン・ジャッジ(31=ヤンキース)か、大谷翔平(28=エンゼルス)か?」でモメたように、長期間にわたって、著名ライターたちが激論を戦わせていた。つまり、「賞レース予想」に名前が出ることは、選手にとってはステータスでもあるのだ。

「2025年から20以上の州でスポーツギャンブルが解禁されます。MLBの勝敗、タイトル争いなども対象とされる予定です。その前段階として、米メディアも色々な予想の特集を組んでいるのです」(現地特派記者)

 吉田も賞レース予想の予想記事に大きく取り上げられ、さらに注目度を高めているようだ。6月12日までのヤンキースとの3連戦では今季2度目となる3試合ノーヒットで打率を3割まで落としたものの、目下、吉田は首位打者争いを繰り広げており、「圧勝」と予想されているのが新人王。さらに、ハイレベルなMVP争いにも食い込んでくるのでは、と予想されている。

「吉田は打って当然」

 日本時間6月9日のガーディアンズ戦、吉田は「2番・左翼」で出場したが、5打数1安打。打率も3割1分5厘でリーグ2位から3位に後退した。興味深かったのは、7回にまわってきた第4打席中の実況だ。一・二塁間を割る右翼前ヒットを放つと、地元放送局NESNのアナウンサーが、

「そうだよな、吉田が4打席凡退なら驚いたよ」

 と実況し、解説者も「打つのは分かっていたさ」と同感した。打って当然というのが、今の吉田の評価だ。さらにアナウンサーは、

「直近11試合での成績は打率4割2分9厘です!」

 と言うと、「なんだ、たったそれだけしか打ってないのか?」とジョークで返していた。

「レッドソックスの地元・ボストンの楽しみは『吉田の活躍だけ』と言っても過言ではありません。チームは序盤戦こそ好調でしたが、目下、ア・リーグ東地区の最下位です。『吉田は打って当然』と実況されたガーディアンズ戦にしても、3対10で敗れています」(米国人ライター)

 また、同局は2000年以降、メジャー1年目のシーズンの最初の50試合で85度以上出塁し、三振が25以下という選手は、01年のイチロー氏(49)と吉田しかいないとも紹介していた。

 記録面での注目はまだある。6月1日(日本時間2日)のレッズ戦で2本以上のヒットを放っていたら、「5試合連続マルチ」だった。5試合連続はイチロー氏も果たせなかったが、吉田は4番を任される試合も出てきた。打線全体が湿りがちなチーム状況において、彼一人に相手チームのマークが集中することもある。そのなかで首位打者争いを繰り広げているのだから、”大げさな実況”もされるのだろう。

 しかし、当の吉田は地元・ボストングローブ紙の取材に対し、「新人王? 興味がない」と言い切っている。同紙は日本のオリックスバファローズで、プロとして7年間もプレーしてきた誇りだと伝えていたが、新人王に選ばれれば、2018年の大谷以来、日本人プレーヤー5人目の快挙。ボストンのファンも「チーム低迷のウップンを晴らすためにも!」と応援しているのだ。

 その新人王レースの予想で、こんなこともあった。

 6月1日(日本時間2日)のレッズ戦が終わったころ、米スポーツサイト・ブリーチャーリポートが5月までの成績をもとに、「新人ランキングトップ25」を発表した。新人王レースの中間発表のような意味合いも兼ねており、「1位・ダイヤモンドバックスのコービン・キャロル(22=外野手)、2位・レンジャーズのジョシュ・ヤン(25=内野手)、3位・吉田」となっていた。ちなみに、メッツの千賀滉大(30)は10位だった。

 このランキングを見たのだろう。ラジオ局のロックト・オン・アストロズが「1位は吉田だろ? 訂正してくれ」と放送中に語ったのだ。このラジオ局は局名からも分かる通り、アストロズ贔屓でやっている放送局。他球団のファンも吉田を認めているわけだ。

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