加藤未唯の父が明かす知られざる素顔「試合に負けて泣きっぱなしの子」が“全仏オープン優勝”するまで 「優勝は娘、そして家族の夢」
イギリスに入国できずに泣きじゃくり…
そんな彼女が大きく成長するきっかけは、2010年のウィンブルドンジュニア選手権への出場だった。
「ロンドンまで一人で行かせたんですが、ヒースロー空港の入国審査官が私に電話をかけてきて“君はどこにいるんだ。15歳の子供を置いて何をしている”と言うのです。未唯も電話口で“入国させてくれない”と泣きじゃくっている。困ったなと思いました」(同)
イギリスに保護者の同伴なしで未成年者が入国する場合、事前申請など手続きが必要だったのだ。
「入国審査官から“入国は非常に難しい”と言われてしまったので、私が“ウィンブルドンに出場するから、なんとかしてくれ”と頼んだところ、あちらの態度がコロッと変わりましてね。“それなら私に任せておけ”と言って、会場へのタクシーの手配まで全部やってくれたんです。とはいえ、娘も初めてのことで、ウィンブルドンに着くまで私と電話をつないだまま。“20分たってもまだ着かへん”“30分たってもまだ……”と言ってくるので、“ロンドンタクシーは紳士の塊(かたまり)やから心配すな”と励まし、なんとか会場に着きました」
1ラウンドで敗退したものの、父から見た娘には明らかな変化が生じていた。
「言葉から食まで文化や環境が違う世界で、いかに勝ち続けるかをよく考えたみたいなんです。泣きじゃくった後も立ち直れる子でしたが、海外遠征は1週ごとに試合があって何
日も引きずると次の試合に影響する。14歳の頃からそういうルーティンで試合していますから、メンタルの強さとかよく言われますが、さっさと切り替えて忘れる力が大事やと気付いたんです。今は娘もパリを離れてオランダの大会に臨んでいる。その後は多分イギリス、8月ごろはアメリカ。私も会えるのは年に3回くらいです」
6月15日発売の「週刊新潮」では、大貴さんへのインタビューの完全版を掲載。全仏優勝後、初めて交わした親子のやり取りなどについて詳報する。