【マイナカード】普及を急ぎ過ぎたツケ 専門家は「今後も問題は繰り返し、その度にシステムの改修が必要に。最悪のスパイラルに入っている」

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「問題だらけの母屋」と指摘

 さらに、家族名義の口座を紐付けたと見られる13万件についても、苗字が同じ家族名義の口座が登録されていた場合、その名前の読みが本人なのか別の家族なのかを判断することがシステム上はではできない。つまり、実際に支給される段階になった際に、改めて本人の口座かどうかを確認する必要に迫られかねないのだ。今でも市役所の窓口でやっているように、通帳の1ページ目をコピーして提出するといったアナログ対応をデジタル時代でも続けなければならないのかと暗澹たる気持ちになる。

 実はこの「名寄せ問題」、マイナンバー制度が導入された時から繰り返し指摘されてきた。

 1年前の6月にも政府のデジタル臨時行政調査会で、メンバーの金丸恭文氏(フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長)がこう発言していた。

《(マイナンバー制度の)問題だらけの母屋を改築しないと、健康保険証との一体化の推進を含む行政手続のデジタル化の取組の阻害要因になりかねません》

 カタカナ登録のないマイナンバー制度のまま銀行口座や健康保険証と紐づけたら、本人照合で問題が起きると当初から指摘していたのだ。金丸氏は菅義偉前首相の長年にわたるブレーンで、デジタル庁新設を進言したひとりとされる。

通称使用の問題

 従来の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに保険証機能を持たせる「マイナ保険証」は、今後さらに大きな問題を生むだろう。

 全国保険医団体連合会が今月9日、マイナ保険証システムを導入した35都道府県の医療機関に聞き取り調査をした結果を公表した。

 それによると、回答した6062施設の64・8%に当たる3929施設でマイナ保険証を巡る何らかのトラブルが発生。「無効」や「別人」と判断されて患者が保険を使えず、医療機関で費用の10割を負担したケースが533件あったという。

 病院関係者は、さらに厄介な問題があると明かす。

「健康保険組合などの判断で、現在の保険証では表面に記される氏名に通称使用が認められています。外国籍の人や性同一性障害の人などは、本名を裏面に記載する例外措置があります。しかし、マイナンバーカードは表面に本名が記載されているので、通称を使用している人たちから『病院側に本名が知られてしまうのは嫌だ』という相談が来ています」

 まさに問題山積というわけだ。

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