「自分たちはテレビでネタをやりたい」ハナコは地に足の着いた芸人人生を歩むと思う理由

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本物の実力で地に足のついた芸人人生を

 ハナコのコントの特徴は、3人の役割分担がはっきりしていることだ。表情豊かで演技力の高い岡部大が主役になり、地味でおとなしそうな秋山寛貴がツッコミ役や普通の人の役を担当することが多い。そして、不気味な存在感の菊田竜大は第二のボケ役になったり、ときには明確な脇役に回ったりする。

 ネタによっては、菊田がほとんど目立たない「死に役」になることもある。これはトリオのコントとしては割と珍しいことだが、菊田自身もひょうひょうとしたキャラクターの持ち主であり、それを嫌だとも思っていないようだ。そんな彼だからこそ、脇役や死に役を堂々と務めることができるし、それが彼らのコントのバリエーションを広げている。

 ネタの面白さを売りにしている彼らは、時代の波に流されることがないため、良い意味で浮き沈みがなく順調に活動していきそうだ。第七世代のブームという波に乗って世に出てきた印象はあるが、その実力は本物。今後も地に足のついた芸人人生を歩んでいくだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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