WBC栗山前監督「争奪戦」は巨人、日本ハム、楽天の“三つどもえ” 楽天監督に必要な「オーナーとの念書」とは

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日ハムでのポストは「新庄監督」次第

 日本ハムに話を移すと、同球団での表舞台復帰は、新庄剛志監督の去就次第か。仮に今季限りで退任となれば、候補には挙がるかもしれないが、実現性は低いという。稲葉篤紀GMの次期監督就任が既定路線だからだ。

「栗山さんは日本ハムで10年も監督を務めた。2年離れただけで、監督復帰というのは新鮮味がない。ファンに時代が逆行するような印象を与えかねず、栗山さん自身も再登板には後ろ向きと聞いた」

 元NPB球団監督はこう明かした上で、今オフの日本ハムの人事の展望を口にした。

「新庄監督が続投すれば、栗山さんは現在のプロフェッサーの立場のままか、他球団に移籍するかのどちからか。稲葉監督誕生時は(空席となる)GM就任があり得る。巨人同様、日本ハムでも栗山さんへのフロントとしての評価は高い。NPBではオリックスの福良淳一GMが元選手で成功例にあり、元ユニホーム組のGM就任はチーム強化という意味ではうってつけ。栗山さんは日本ハム監督時代に、球団フロントの絶大な力を見てきた。トレードの知らせもメディア発表よりほんの少し前で、結果を通達されるほどだった。今度は自分がその立場になるわけだから、やりがいはあるのではないか」

 一方で栗山氏自身にはGMなどフロント業よりは監督業に未練があるのではないかと、前出の元監督はみる。そこで浮上してくるのが楽天の次期監督である。

「念書」で三木谷オーナーの現場介入に対抗?

 楽天の三木谷浩史オーナーはWBCでチームをまとめ上げた栗山氏の手腕を公に賛美してきた。石井一久監督はこのまま低迷すれば、今季限りでの退任は決定的。

「マー君(田中将大)ら実績があるベテランが多いチームは、スター軍団の代表チームにも重なるところがある。親会社が経営難で来季も大型補強が期待できない中、チーム編成が完全にフロント主導だった日本ハムの手法に折り合いを付けてきた栗山氏なら、現有戦力でやり繰りできるはず」(元球団社長)

 栗山氏さえ首を縦に振れば、事はスムーズに運びそうにも映るが……。「三木谷さんのスタンス次第ではないか」と前出の元NPB監督は意味深に語る。

「三木谷さんの現場介入は有名。(元監督の)野村(克也)さん、星野(仙一)さんにさえ口出し、実績がない監督にはスタメンの提案などは日常茶飯事だったようだ。そこまでは他球団ではない。監督経験者であれば(楽天から監督)要請が来ても、誰もが悩むと思う。現場介入しないとの確約があれば別だが……」

 ただ、今の栗山氏の実績であれば、この確約を取り付けることが可能とみる向きがある。楽天の事情に詳しい球界関係者は、

「契約書に、現場のことは現場に任せるという但し書きでも付属してもらえばいいのではないか。三木谷オーナーも栗山さんは喉から手が出るほど欲しい人材のはず。売り手市場の今なら承諾を取り付けることは容易だろう。あとは三木谷さんがそれを飲むかどうか」

 3球団いずれもペナントレースのチーム成績次第だけに、シーズンが深まるにつれ、栗山氏の去就をにらみつつ各球団の動向から目が離せなくなりそうだ。

デイリー新潮編集部

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