秀吉ゆかりの“黄金の茶釜”が3億円で落札された裏事情 落札者は「海外に流出しなくてよかった」

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 ネットオークションやフリマアプリが身近になっても、億単位の取引となると珍しい。先ごろ“黄金の茶釜”に3億円もの高値がついたと景気のいいニュースが流れたが、令和の世で落札された裏事情を探ってみると……。

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 5月27日、東京・丸の内でアート作品や工芸品を扱うオークションが開かれ、茶釜をはじめとした豊臣秀吉ゆかりの“黄金の茶道具一式”が出品され話題を集めた。

 主催者であるシンワオークション(東京)の担当者が解説する。

「戦時中、政府の金属供出令で供出された際、預かった日本銀行が茶器の成分を調べた結果が残されており、金の含有率は80~87%で、残りは主に銀で構成されていました。単純に貴金属としても価値のある逸品です」

 スタート価格は1億2千万円で、これは金としての価値を踏まえたものだが、いざオークションが始まるや次々と買い手が現れ、値はうなぎ登りに釣り上がり、見事3億円で落札されたのだった。

「海外に流出しなくてよかった」

 落札者となった廣澤美術館(茨城県筑西市)の担当者に聞くと、

「町おこしの目玉にしたいと、最初から落札を考えていました。時期は未定ですが当館で展示して皆さんに見ていただきたい。豊臣秀吉と藤堂高虎の関係も興味深いですし、末永く日本文化の遺産として保存していくべき茶道具が、海外に流出しなくてよかったと思います」

 黄金の茶道具一式は、秀吉が建立した黄金の茶室に備えられていたと伝えられる。その後、秀吉が「朝鮮出兵」で活躍した戦国大名・藤堂高虎に褒美として授けた説や、豊臣家を滅亡させた徳川家康が、味方となった高虎に、焼け落ちた大坂城の下を掘ると“良いことがある”と告げ、見事に探し当てた藤堂家が家宝とした説がある。

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