上白石姉妹“成功の秘密” 萌音と萌歌はどこが似ていて、どこが違うのか

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実は演技の評価は高い

 姉妹が成功した最大の理由は、なんといっても演技のうまさにほかならない。姉妹は”いかにもうまい”というオーバーな演技をしないからか、過小評価される向きもある。

 だが、萌音は「千と千尋の神隠し」と、養護施設出身の少女役で主演したミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」で、今年2月に第30回読売演劇大賞の最優秀女優賞を受賞した。

 この賞は演劇界屈指の勲章。2002年には大竹しのぶ(65)、翌2003年には寺島しのぶ(50)、翌2004年には宮沢りえ(50)が受賞している。分かりやすく表現すると、演劇界のレコード大賞だ。25歳での受賞は史上最年少だった。

 贈賞式で萌音は「演劇に携われる幸せがどんな困難からも引っ張り上げてくれます。お芝居を長く続けられるよう、精進してまいります」などと語った。今後もドラマと演劇の二刀流を続けるに違いない。

 ちなみに今年3月と4月の萌音は、ミュージカル「ジェーン・エア」で自由と愛を求める主人公を演じていた。春ドラマには出られなかった。「千と千尋の神隠し」は8月に名古屋・御園座、来年3月に東京・帝国劇場で再演される。だから夏ドラマへの出演もない。

 萌歌も演技への評価が高い。姉妹はともに2011年の「東宝シンデレラ」オーディションの出身なのは知られている通りで、グランプリが当時10歳の萌歌、同12歳だった萌音は審査員特別賞だった。

 審査員は全員一致で萌歌をグランプリに選出した。当時、東宝は選評を「表情豊かで、何をやっても人の心をつかめる。持って生まれたものじゃないでしょうか」と説明した。

 その読み通りだったのではないか。2018年の「義母と娘のブルース」(TBS)での萌歌は綾瀬はるか(38)の義娘役で、クソがつくほど生意気な高校生だったが、不思議と憎めなかった。また、綾瀬に負けない存在感を見せた。

 ほんわかしているようで根性もある。2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK)で、1936年ベル,リン五輪200メートル平泳ぎの金メダリスト・前畑秀子役が決まると、7キロ増量し、日焼けサロンに通った。日サロ通いはともかく、身長1メートル63で7キロ太るのはしんどかったはず。ちなみに萌音は1メートル52だ。

 萌歌がうまさを見せつけたのは、新米刑事・水木直央を演じた「警視庁アウトサイダー」。先輩への敬意がゼロで、それどころか濡れ衣まで着せてしまうとんでもないキャラクターだったが、笑わせてくれた。このドラマのコメディエンヌ役を見事にはたした。笑わせるのは泣かせるより難しい。

 その終了から間を置かずに始まったのがシリアス調の「ペンディングトレイン」。こちらでは実直な体育教師・畑野紗枝を演じているものの、「キャラが変わりすぎだろ」といった違和感を指摘する声は上がっていない。ベテランでも連ドラの続投は簡単ではないが、それを難なくこなしている。

 萌歌も演劇とミュージカルをやる。その評価は萌音と同じように高い。19歳だった2020年にはPARCO劇場(東京・渋谷) で「ゲルニカ」に主演し、話題になった。同劇場での最年少座長だったからだ。脚本は長田育恵氏(46)が書いた。NHK連続テレビ小説「らんまん」の作者である。「らんまん」の後半でサプライズ出演があるかも知れない。

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