【京都タリウム殺人】被告の“妻”が初めて明かす胸中 娘想いの“夫”はなぜ叔母が倒れてから変わってしまったのか

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「延命治療をしてください」

 そして、この事件に関する取材を進めるなかで、一希被告の妻・A子さんに接触することができた。突然の取材の申し出にA子さんは困惑した表情を浮かべた。だが、しばらく沈黙が続いた後、ようやく重い口を開いたのだった。

「家族はみんな“一希がそこまでのことをするのか”と。いまも信じられないです」

 A子さんが“叔母”が倒れた当時を振り返る。

「“叔母さんの意識はもう戻らないかもしれない”と医師から告げられたとき、主人と妹が病院に呼ばれました。延命治療をするかしないかの判断をしなければならなかったのですが、主人は真っ先に“延命治療をしてください”と答えたそうです。そんなこともあって、誰も主人のことを不審に思ってはいませんでした」

 社会部記者によれば、「一希被告が叔母の延命治療を中止するよう訴えたが、病院側がこの申し出を受けなかったとされている」が、当初は延命治療を望んでいたことになる。

 また、A子さんは、当時の一希被告の様子に違和感は覚えなかったと語る。

「夫婦仲も悪くなかった頃でした。主人なりに娘のことを大切にしてくれていた時期です。当時のLINEを見返しても“これから帰るよー”とか、本当に変わった印象はなくて。主人の態度を思い返しても、全然ひっかかるところがないんです」

派手に飲み歩くも「不動産売買で利益が出た」

「逆に2020年ころからは羽振りがよくなったおかげで、結婚記念日や誕生日には予約困難と言われるお店を予約してくれたり、ケーキやシャンパンでお祝いしてもらっていました。事件が起こる昨年7月の結婚記念日にも、二人でお祝いしました。男女としては終わっていたかもしれませんが、それでも、夫婦の記念日はちゃんとしてくれていたので、私はこの豊かな暮らしに感謝して、主人度重なる外食や旅行には一切口を出すことはありませんでした」

 捜査ではこの頃、一希被告は意識不明のまま入院生活を続ける叔母の口座から、約5000万円を引き出していたとされるが、A子さんは全く知らなかったそうだ。

「たしかに、派手に飲み歩くようになった印象はあります。主人は会社を立ち上げてまもなかったですし、そもそも、“コロナ禍の最中に舞妓のイベントでそんなに稼げるのかな?”って思ったのは事実です。でも、主人は“不動産売買で予想を上回る額の利益が出た”と話していました」

 夫妻が出会ったのは東京だった。仕事仲間に誘われた飲み会をきっかけに、一希被告からアプローチを受け、交際に発展した。「おっとりして優しそうなところに好感を持っていました」とA子さんは言う。一希被告が京都に戻ってビジネスを始めた時期に、A子さんも京都に引っ越して結婚。娘を出産した。子育てをしながら、仕事を続けてきたA子さん。コロナが蔓延し、自宅でリモートワークをしていた頃は、夫婦で過ごす時間も多かったという。

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