ウクライナ軍の反攻開始でロシア軍は総崩れ 専門家が「まさに敗北寸前の軍隊」という状況証拠とは

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ロシア空軍の弱体化

 日テレNEWSは6月6日、「ウクライナ軍司令官『戦車がバフムト方面への攻撃でロシア軍を断ち切った。前進を続けている』」との記事を配信した。

 シルスキー司令官は5日、自軍がバフムトに向けて前進しているとSNSに投稿。その際、《戦車がバフムト方面への攻撃でロシア軍を断ち切った》と、ウクライナ軍の戦車が戦果を挙げていることを明らかにしたのだ。

「本来、戦車は空軍の支援が不可欠です。丸裸のまま敵軍から対戦車ヘリなどで攻撃されると、相当な損害を受けてしまうからです。しかし今のウクライナ空軍に戦車部隊を支援するだけの戦力はないと考えられています。それでも戦車がロシア軍を攻撃しているのなら、ロシア軍の空軍も弱体化しているのでしょう。ゼレンスキー大統領が飛行禁止区域について発言しなくなったこととも符合します」(同・軍事ジャーナリスト)

 2022年3月、BBC(日本語電子版)は「西側諸国の武器供与は効果を上げているのか ロシアと戦うウクライナ」の記事を配信した。

 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)がBBCの取材に応じ、ウクライナ軍がロシア空軍のジェット機やヘリを撃墜しているため、ロシア軍は航空優勢を確保できていないとの分析を示していた。

部品を買い漁るロシア軍

 今となってみると正確な分析だったことが分かるが、この際、RUSIは地対空ミサイルの「マンパッズ(Manpads)」が戦果を挙げていると指摘していた。

「Manpadsの正式名称は『man-portable air-defense systems』で、日本語では『携帯式防空ミサイルシステム』と訳されます。兵士が肩に担いだまま発射する地対空ミサイルのことで、アメリカのFIM-92スティンガーやイギリスが開発したスターストリークなどが有名です。ウクライナ軍はNATO各国から供与されたManpadsを使い、ロシア空軍に相当なダメージを与えたと分析されています。たとえロシア国内に戦闘機や攻撃機が残っていても、撃墜されるのが怖くて出撃できない可能性も考えられます」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロシア軍の現状を考える際、軍事ジャーナリストが注目するのは、日本経済新聞(電子版)が6月5日に配信した「ロシア、兵器部品『買い戻し』 ミャンマー・インドから
旧型戦車・ミサイル改良の目的か、日経調査」の記事だという。

 日経新聞がウクライナ侵攻以降の通関データを分析したところ、ロシアが過去に輸出した戦車やミサイルの部品を、改めて買い戻していたことが分かったという。

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