本物の芸人「ハリウッドザコシショウ」が再評価されている理由

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同業者の間では長年にわたって高い評価

 お笑いの世界では「芸人が笑う芸人は本物だ」という定説がある。人を笑わせることを自らの職務としているプロの芸人は、他人のネタを見ても生半可な芸では大笑いすることはない。見るだけで圧倒されるような本物の芸でなければ、プロの心を揺さぶることはできない。

 その点、ハリウッドザコシショウは紛れもない本物の芸人である。そのエキセントリックな芸風は、同業者の間では長年にわたって高く評価されてきた。小学生男子が読むギャグ漫画のような、突き抜けて幼稚でパワフルな世界観の徹底ぶりは、他の追随を許さないものがあった。

 しかし、彼の媚びないスタイルはなかなか世間一般には浸透せず、長い雌伏の時を過ごしていた。ハリウッドザコシショウは吉本興業のお笑い養成所「NSC大阪」の11期生だった。同期には中川家、陣内智則、ケンドーコバヤシ、たむらけんじなどそうそうたる顔ぶれが並ぶ。

 同期の実力派芸人たちがどんどん才能を開花させて売れっ子になっていく中で、ハリウッドザコシショウは当時組んでいたコンビでも結果を残せず、苦戦を強いられていた。

はみ出し者の芸人たちの精神的な支柱に

 起死回生を狙って事務所を辞めて上京するも、コンビは解散してしまい、ピン芸人として活動を続けることになった。別の事務所に所属したり、フリーとして活動したりする時期を経て、現在の事務所であるSMAに入った。

 お笑い事務所としては新興勢力だったSMAには、ハリウッドザコシショウと同じように、ほかの事務所を辞めた年配の芸人がたくさん流れ着いていた。彼は芸歴が長かったこともあり、そんなSMAのはみ出し者の芸人たちの精神的な支柱として君臨していた。

 田村正和がドラマで演じていた古畑任三郎を独自の切り口でものまねするネタをきっかけにして、ハリウッドザコシショウは「誇張ものまね」という芸を編み出した。誇張ものまねは短時間でも伝わりやすく、笑いが取りやすいネタだった。

 これを引っさげて、彼は2016年にピン芸日本一を決める「R-1グランプリ」(当時の表記は「R-1ぐらんぷり」)に挑み、見事に優勝を果たした。この時点では、彼の芸を理解できない一部の視聴者からは批判を受けたりもしていた。

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