韓国に比べてかなり低い「日本の若者」の留学意識 オペラの世界で実感することは?
韓国の海外留学生数は日本の倍以上で内容も濃い
では、韓国人の海外留学生はどのくらいいるのか。日本の文部科学省に相当する韓国教育部の集計によると、2017年の韓国人の留学生数は23万9,824人と日本人の2倍以上で、そのうち学位過程の在籍者が半数を超える14万2,886人におよんでいる。
どのくらいの期間、学位過程に在籍するのかは、この統計だけではわからないが、少なくとも1カ月未満ということはあるまい。1カ月未満の留学が7割近くを占める日本とくらべ、より長期にわたる本格的な留学が多いことはまちがいない。
また、たとえばアメリカへの留学生数は6万1,007人で、その8割以上はアメリカの大学に通い、その数は日本人の約3倍だという。近年、アメリカへ留学する韓国人の減少が指摘されているが、代わりに中国などを留学先に選ぶ学生が増えており、留学生自体が減っているわけではない。
ちなみに、韓国の人口は約5,157万人で、1億2,462万人をかかえる日本の半分に満たない。それなのに海外への留学生数は日本人の2倍以上だということは、日本の何倍も留学志向が強く、留学を選択する若者の比率が高いということである。
諸外国にくらべて著しく低い留学意識
若者に対する意識調査を見ても、日本の若者の内向き志向は顕著である。内閣府が2018年に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、「外国留学をしたいと思わない」と答えた若者が、日本は53.2%におよんだ。調査対象8カ国のなかで圧倒的に多く、同様に答えた若者はアメリカでは24.0%、韓国では22.0%にすぎない。
また、同じ調査で「外国の高校や大学(大学院を含む)に進学して卒業したい」と答えたのは、日本人はわずか5.1%で、アメリカは19.8%、韓国は14.5%。「外国の高校や大学(大学院を含む)に半年から1年程度留学したい」と答えたのも、日本人の7.9%に対し、アメリカは20.0%で韓国は20.2%だった。ちなみに、どちらも問いも該当者が10%を切ったのは、8カ国中で日本だけだった。
文部科学省の2022年の調査では、海外留学を希望しながらしていない理由の1位に上がったのは「経済的な余裕がないから」だった。たしかに、日本は「失われた30年」と称される経済の停滞に見舞われ、その間に、平均年収で韓国に抜かれたことが話題になった。だからといって、若者の意識や留学者数で韓国との間にこれほどの差ができるほど、日本人が経済的に追い詰められているとは考えられないのだが。
[2/3ページ]