日本は本当に「難民に冷たい国」なのか 難民審査参与員が明かす「デタラメ申請」の数々

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新約聖書と旧約聖書の違いも分からない

 10年近い審査経験を持つ男性参与員が後を受ける。

「パキスタンやバングラデシュからの難民申請者には、反対政党を支持していたので今から国に帰されても殺される、という主張が多い。しかし、ではどれくらい活動したのか、と聞くと、ビラを貼ったとか集会で人を呼んだとかその程度なんです。ミャンマーのケースでも、僧侶が行った軍事政権への抗議デモに参加したことがあるから帰れないと言うんですが、何をしたのかと尋ねると、お坊さんに水をあげたと。その程度で身に危険が迫ることはありえないでしょう」

 また、

「キリスト教に改宗したために帰れないと言うイランの人に、新約聖書と旧約聖書の違いは?と聞いても答えられない。宗教上の理由で迫害されたと言う人に何があったのかと質すと、お酒が禁止なのに飲んでしまったと。とても難民事由には該当しませんよね」

 この参与員は、認定例は過去に1例しかないという。

“私は難民ではない”

 こうした事情もあり、昨年の不服申立てによる審査請求のうち、難民と認められたケースは4461人中15人に過ぎない。

 なぜこうした難民申請が繰り返されるのか。

 前述した送還停止のメリットと共に、大きいのは経済的理由だ。以前は日本に入国し、難民申請を行えば、6カ月経過後、就労が可能になった。この制度以降、難民申請者が急増した。

「そのため審査が滞り、長期化しました。現在不服審査までに2年超かかります」

 と冒頭の男性参与員。

「つまり“難民”は一度申請を出せば数年は就労が可能です。そして参与員の審理の最中もまた数年就労が可能なのです。ですから申請を出すこと自体が目的で、難民として認められるか否かはどうでもいいと考えている人が多いように見えます。入管庁の統計でもわかるように、不服申立てをした申請者の4割超が、弁論放棄といって口頭意見陳述もせずに書類を出すだけで済ませていますからね」

 こんな珍場面も発生する。

「前の人の審査が延び、次のミャンマー人のスタート時間が1時間ほど遅れてしまったことがありました。その男性は面談の場に入ってくるなり、“早く終えてください”“私は難民ではないですから”と言い出した。居酒屋で仕事をしていて仕込みが間に合わないから早く帰してくれ、と言うのです。帰る際には“また申請を出していく”と」

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