上岡龍太郎さん、弟子が明かす“異変”と最後の会話「芸能界への未練は…」 上沼恵美子は「私の勲章」と感謝を口に

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上岡さんに応援されたことが「私の勲章」

 5月19日に肺がん、間質性肺炎のため亡くなった元タレントの上岡龍太郎さん(享年81)。親交の深かった上沼恵美子が語る天才の生き様、そして弟子でお笑いタレントのぜんじろうが明かす、晩年の“異変”とは――。

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「完全に引退するのって難しいんですよ。本当にテレビカメラの前に出てこなかったのは、上岡さんと山口百恵さんくらいでは」

 58歳のときに突如として引退した上岡さんについてこう話すのは、「関西の視聴率女王」の異名を持つタレントの上沼恵美子だ。

「私は68歳ですから、上岡さんが引退した年齢と比べて10年もオーバーしてしまっています。それを今回、改めて知り頭を抱えました。まだ中途半端にやっている自分が無様なようにも感じ、上岡さんに申し訳ないと……。普段は辛口の上岡さんでしたが、本当に何度も何度もエールを送られ応援してもらった。それが私の勲章でしたから」

「なんぼでも稼げたのに…」

 そう謙遜する彼女が、上岡さんとの出会いを振り返る。

「上岡さんと初めて会ったのは、私が小学校3年生の時に出演した、大阪・心斎橋にあった日立ホールで収録された素人漫才の番組でした。淡路島から出てきた私は目を輝かせながら、司会の漫画トリオさんを見ていました。子供心にも上岡さんはお笑いの人に見えなくて、インテリ顔でかっこいいなって。温かさも感じる本当にキレイな関西弁を使う。谷村新司さんもそうですね。普通、私など大阪のタレントは収録で“関西弁でガラ悪く言って”と指図されることがありますが、上岡さんは、絶対に周囲からそう言われない品格を持ち合わせていました」

“話芸の天才”とも称されたその語り口について、上沼はこうも話す。

「上岡さんのすごいところは、奥様に“滑舌が悪くなったら言ってくれ。そうなってまでテレビ出たくない”と頼んだら、“あなた、今よ”と指摘されて、本当にお辞めになったことです。絶好調だった上岡さんなら、なんぼでも稼げたのに潔くお辞めになった。それが上岡さんの生き様ですよね」

“山は登ったら、下りていかなあかん”

 引退後、悠々自適の日々を送っていた様子はうかがえるが、上岡さんは本当に満足していたのか。その胸の内を聞いていた数少ない人物が、上岡さんの弟子でお笑いタレントのぜんじろう(55)である。

「現役の頃から、師匠は“ノックちゃんをずっと見てきたから、年を取ったらどうなるか分かります”って口にしていました。10歳も離れた相方を基準に、肉体が衰えるとはどういうことか、そして、どう受け入れるか、引き際の美学を真剣に考えていた。“やっぱり山は登ったら、下りていかなあかん。登ったきりはおかしい”と言っていましたね」

 読書家の上岡さんらしく、時には哲学問答のようなやり取りもあったという。

「毎回、言うことは変わりますけどね(笑)。現役時代によく言っていました、“死ぬことを考えるのは、生きることを考えることや”って。元気な時にピタッと辞めるか、ボロボロになって最後まで人様の前に立つか。どちらが正解という話ではないけど、考えること自体を楽しんでいたと思います」

 そう振り返った上で、

「引退は師匠もさまざまな理由が重なった末の決断だったと思いますね。一個だけ明確に“コレや”っていう理由はないし、ご本人もよく分かっていなかったかもしれません。芸能界への未練はちょっとあったでしょう。一方でスパッと辞めたという己の美学に酔いしれていた部分もあったはず。引退後は趣味のゴルフやマラソンに打ち込み、本当に楽しんでいたけど寂しくなる時もあって、いろいろな思いが入り混じっていたんじゃないでしょうか」

咳き込む上岡さんが“駄目かもです”

 そんな愛弟子は、最晩年の上岡さんに生じた“異変”に気付いていた。

「師匠と最後に話をしたのは今年の正月でしたが、ちょっと咳き込んではったんです。私が“すみません、大変な時に電話して。大丈夫ですか”と聞いたら、“駄目かもです”って言われて、“えっ”と言葉に詰まりました。いつもの冗談とはちょっと違ったし、そんなこと言われたのは初めてでしたから。結局、電話でさまざまなアドバイスを頂き、師匠から“ライブやる時は、絶対電話を入れてね。絶対に観に行くから、電話に出なくても留守録入れてよ”と。それが最後の会話になってしまったんです」

 6月8日発売の「週刊新潮」では、「探偵!ナイトスクープ」局長時代の盟友・百田尚樹氏に上岡さんが語っていた「うつ」「芸能界への未練」についても詳報する。

「週刊新潮」2023年6月15日号

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週刊新潮 2023年6月15日号掲載

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