原辰徳監督が守護神・大勢に“おきゅう”を据えたワケ【柴田勲のセブンアイズ】

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投手に大事なことは…

 4日の日本ハム戦、3度目の先発となった松井颯が3回を7安打5失点で初黒星を喫して2軍落ちとなった。要するにあのクラスの投手に毎回勝てというのは無理な話だ。

 横川凱、赤星優志にしても投げてみなくては分からない。そういう選手を使っていかなければならない。辛いところだがどうやってうまく起用していくか。ないものねだりをしてもしょうがない。ベンチの考え方が大事になってくる。

 この試合、3番手の鍬原拓也の4失点が痛かった。速球にスライダーやシンカー……いいものを持っている投手なのだが、この日の投球を見る限り球が散らばっていたし、かと思えばボールが真ん中にいく。

 考え方が悪い。私が投手コーチならブルペンの投球練習で100球すべて真ん中低めに投げろと言う。鍬原はおそらくブルペンで速い球やいい変化球を投げたい。ボールの切れを増したい。こう考えているのではないか。

 大事なのは何を投げるかではなく、どこへ投げるかだ。低めに丁寧に投げる。しかも外角にいくように心がける。もうここは体で覚えるしかない。1週間黙って続けたら少しは良くなる。投手は1に制球力、2にボールの切れ、3で速さだ。

ムードを良くしてほしい

 4番・岡本和が好調をキープしている。セ・リーグのトップを走る13号、打率も.321と打撃30傑の6位にいる。

 理由は明白だ。難しい球に手を出していない。やさしい球、つまり甘い球を見逃さずに積極的に打っている。だからバットの振りもスムーズだ。もう一人、難しい球に手を出していないのが秋広優人だ。しっかりしている。

 対照的に難しい球に手を出しているのがルイス・ブリンソンでありアダム・ウォーカーだ。ヤクルトの村上宗隆にしても本塁打を10本打っているが打率は.223だ。これだってストライクを見逃してボール球に手を出しているからだ。まあこれは丸佳浩、坂本勇人にも言えるが。

 ところで4日の試合で岡本が5月7日の中日戦(バンテリンドーム ナゴヤ)以来、22試合ぶりに本職の三塁に戻った。中田翔が8試合ぶりに一塁で先発したためで、守備力を評価されて21試合連続でスタメン出場していた門脇誠がベンチスタートとなった。

 打者だって1に打力、2に守備力、そして3に走力だ。

 その意味では吉川尚輝はもっと打力を向上させてほしい。彼もまた甘い球を見逃して低めのボール球を打っている。打席での構えを考え直した方がいい。力感を求めている感じがする。ヘッドが出ないし、前さばきができない。楽に構えてはどうか。

 身体能力が高く、守備力、脚力だって抜群だ。野球センスも持っている。ベンチスタートの選手ではないが、吉川自身も悪いということだ。

 今週の交流戦は6日からオリックス、9日からはソフトバンク戦だ。パ・リーグ1位と3位のチームが相手だ。

 菅野智之が10日か11日のソフトバンク戦で1軍復帰先発の可能性が出てきたという。菅野の復調が見たいところだ。

 毎回、毎回同じことを言うが、早く貯金を作ってもらいたい。貯金が少しでも多くなればチームのムードも良くなる。次回はいい話をしたいところだが。
(成績は5日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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