猿之助事件で劇場版「緊急取調室」が“2度目の災難” 「うちじゃなくて良かった」とホッとしている人も
6月16日に公開予定だった劇場版「緊急取調室 THE FINAL」が、“総合的な判断により”公開延期となったことが配給元の東宝から発表された。ヒットが期待された「緊急取調室(通称・キントリ)」だったが、延期どころか早くもお蔵入りの声も出ている。残念がる声もあれば、なぜかホッとしたなんていう人も……。
***
【写真を見る】29年前、慶応大1年生だった猿之助。やはり現在とは雰囲気が全く違う
実は「キントリ」の公開延期はこれが2度目で、本来なら昨年中には公開されるはずだったというのは、映画関係者だ。
「クランクインしたのは昨年5月でした。当初は年内に公開する方向でしたが、7月に安倍晋三元首相が銃撃され死亡したことから延期となり、今年6月公開に変更されたといわれています。というのも、劇場版には、佐々木蔵之介が演じる暴漢が首相を襲撃するシーンがあったからです」
事件のカギを握るのは佐々木だが、最大の見せ場となるのは“最後の敵は、内閣総理大臣”とキャッチがある通り総理の取り調べ。その総理役こそ、渦中の市川猿之助だった。猿之助は5月18日、一家心中を図り救急搬送されるも両親は亡くなった。自殺幇助の容疑で逮捕される可能性も報じられている。
そこで東宝は、2度目となる公開延期を決定したのだ。業界関係者からは作品の行方を心配する声が出ている。
「映画を生業にする者としては、作品は別物と言いたいところ……。しかし、さすがに今回ばかりは難しいかもしれません。映画のウリが刑事(天海祐希)による猿之助の取り調べですから、映画と現実があまりにリンクしすぎます。あくまでも作品とはいえ、そうしたことを許さない風潮もありますからね。人気ドラマシリーズだった『キントリ』の締めくくりとなる作品だっただけに残念ですが、お蔵入りとなる可能性もあります」
過去にお蔵入りとされた作品は少なくない。だが、製作費が集まらなかったことが原因というケースを除けど、ほとんどは事件絡みだ。
過去のお蔵入り作品
●「スパルタの海」 主演:伊東四朗、監督:西河克己
1970年代から80年代にかけ、スパルタ式の指導で非行少年らを更生させ話題となった戸塚ヨットスクールを映画化。83年9月に東宝配給で公開予定だったが、公開直前にモデルとなった戸塚宏校長が傷害致死などの容疑で逮捕され(のちに懲役6年の実刑)、お蔵入りに。制作から28年を経て、2011年にようやく全国公開された。
●「善悪の屑」 主演:新井浩文、監督:白石晃士
事件の被害者からの依頼で復讐を代行する現代の“仕事人”といえば人情作品のようだが、実際の事件を元にした凄惨な復讐が人気となった同名コミックを原作に映画化。ところが、主演の新井浩文が19年2月1日に強制性交容疑で逮捕され、配給元の日活が公開中止を決定した。
「05年に角田光代さん原作の小説『空中庭園』を小泉今日子さん主演で映画化したのが、豊田利晃監督でした。松本大洋さんの人気コミックを映画化した『青い春』(主演:松田龍平、新井浩文)のヒットで知られる監督ですが、05年8月に覚醒剤取締法違反(所持)で逮捕され、有罪に。お蔵入りも検討されましたが、上映する劇場を縮小して公開にこぎ着けました」
[1/2ページ]