猿之助事件で澤瀉屋は香川照之の意のままに? “復讐劇”の舞台裏

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 心柱を欠いた澤瀉屋(おもだかや)で、香川照之(中車)が存在感を増している。同門で齢93を数える市川寿猿氏は言う。

「中車の若旦那が一門を集めて“大変なことになりましたが、みなで頑張りましょう”と声をかけて下さいました」

 そんな頼もしき若旦那も今から32年前には、ある舞台の楽屋の入り口に震える足で立っていた。幼い頃に離別した父親を初めて訪ねたのだ。だが、相手の対応は予期せぬものだった。

「あなたは息子ではありません。従って、僕はあなたの父でもない」

 そう言い放たれた香川の胸には悲嘆、憤怒、悔しさ、あらゆる感情が去来しただろう。時に香川25歳。しかし、父である三代目猿之助(猿翁)は意に介さなかった。

「猿翁は1968年に香川の実母である浜木綿子(はまゆうこ)と離婚後、自分より16歳上の藤間紫と事実婚の関係を続け、2000年に正式に入籍します。香川との関係はその間、ずっと途絶していた形です」(芸能デスク)

「恩讐の彼方にありがとう」

 猿翁と浜の離婚から40年余りを経た11年9月27日、都内に一門が集い、香川が市川中車として澤瀉屋に迎えられると発表された際、8年ぶりに公の場に姿を現した猿翁は感極まった面持ちで、

「浜さん、ありがとう。恩讐の彼方にありがとう」

 こう述べたが、香川の積年の思いはそれで解消されたかどうか。

 さる古参の梨園関係者が澤瀉屋の歴史を振り返る。

「三代目もまだ元気な頃は“死ぬまで猿之助のままがいい”と言い、現役を続ける意欲を見せていました」

 だが20年ほど前のこと、澤瀉屋の将来を左右する出来事が続けて起こる。

「三代目が03年11月、脳梗塞に倒れます。重度のうつ病も患い、現在では簡単な筆談しかできず、舞台に立つことは不可能になりました。今回の事件に関しても三代目には詳しい事情は伝わっていません」

 加えて翌04年には、

「香川さんに長男が生まれました。1月のことです」

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